読み聞かせる学級づくり(2)物語を読む
私は担任として、国語教師として、たくさんの絵本を教室に持ちこんできた。市内の大規模校に異動してからは、加えて、「物語」の読み聞かせも行った。
「物語」の読み聞かせをしようと考えたきっかけは、大西忠治氏の文章との出会いである。大西氏が、読み聞かせの効用を説いておられる一文がある。雑誌「授業づくりネットワーク」1989年5月号。「読み聞かせ-読み聞かせの継続が教師を鍛える-」というその文章に大変引きつけられた。大西氏は、『ジャンバルジャン』(岩波少年文庫版)を毎年のように読み聞かせしてきたという。大西氏は言う。
方法そのものは単純である。私は給食の時間(学級担任をしている時)、あるいは授業の終りの五分間を、先の『ジャンバルジャン』を読みつづけたというだけである。
私の「物語」の読み聞かせも、この『ジャンバルジャン』から始まったが、どうもおもしろくない。楽しくない。『ジャンバルジャン』に責任があるわけではない。私自身の内発的な動機を欠いたものを読んでしまった…。読み手が共感を持って読めない作品は、聞き手の心に届かない。基本をはずしていた。
今まで読んだ物語の中で、圧倒的な支持を得たのは、森絵都『宇宙のみなしご』(講談社)である。出会った時、『あ、これだ』と思った。読みながら、夜ごと屋根に登る少年たちの姿が目に浮かんでくる。
毎日五分間ずつ国語の授業の最後に読み聞かせた。生徒には大好評。先が待ちきれなくて、買いに行った生徒も数名いた。
(石川 晋:1967年生まれ、北海道公立中学校教師、授業づくりネットワーク理事、日本児童文学者協会会員、「研究集団ことのは」会員)
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