学級づくりで担任に求められることは指導と援助のバランスをとること
学級づくりで担任に求められることは、指導と援助のバランスをとることが重要なのです。
「このクラスをこんなふうにしたいんだ。みんなも協力してほしい」と子どもたちに目標を示して、熱いメッセージを伝え、リーダーシップを発揮して、ぐいぐい引っ張って指導していく。
しかし、一方的に引っ張るだけでは、子どもたちはついてこなくなります。
そんなとき、ソフトに子どもを受容する力(カウンセリングマインド)が必要になってきます。
例えば、パワフルでビシッとした担任の学級は、ともすると圧力負けして、静かだけれど活気がない学級になりがちです。いっぽう、カウンセリングマインド型のやさしいタイプの担任の学級は、活気があるけどまとまりがなくなりがちです。
指導と援助のバランスを上手にとることが重要なのです。
ではどうしたらよいでしょう。リーダーシップ型の教師におすすめしたいのは、子どもの気になる行動に目を向けて指導するのではなく、その子どもがもっているよさや持ち味に目を向けるのです。できることに着目して、そこを伸ばしていくようにします。その子どもの「すでに、身につけている、できる力」を探して、問題行動の解決の糸口とするのです。
もうひとつ、紹介したいのが、「勇気づけ」の心理学であるアドラー心理学です。現場の教師に私がいちばんお勧めしています。あたたかくて前向きで、子どものやる気とパワーを育てる視点が豊富にあるのが魅力的です。
「勇気づけ」とは、子どもに「自信とやる気とパワー」を育てる積極的なかかわりのことです。「ぼくなんてダメ」と自信を失っている子どもに対して「ぼくにもできる」と自信をもつ援助ができれば、勇気づけができたことになります。
たとえば、廊下でゴミを捨てた子どもがいたとき、「こら、何やってるんだ」言わずに、「先生は、学校をきれいにするのに協力してほしいな」と、毅然とした雰囲気で言うのです。
そして拾ってくれたら、「ありがとう、先生うれしいな」と伝えましょう。このほうが、いまどきの傷つきやすい子どもには効果的です。
さらに、先生方におすすめする言葉が、「きみの力が必要だ」というメッセージです。いまの子どもは自己肯定感が低く、くじけやすいのが特徴です。「どうせ私なんて」と思っている子どもがたくさんいます。そういう子に、しっかり目を見て、「おまえの力がどうしても必要だ。力を貸してくれないか」という熱いひとことが、その子どもの人生を変えることもあるのです。
(諸富祥彦:1963年生まれ、明治大学教授,臨床心理学、カウンセリング心理学、現場教師の作戦参謀としてアドバイスを教師に与えている)
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