教師の仕事は子どもを肯定的に見て、自信をもたせてあげること
私は、これまでの経験から、教師が一人ひとりの子どもとよい関係をつくるためには必要な前提条件があると思っています。
まず、子どもたちの多様性を尊重することです。子どもたちは、まったく違った背景をもって学校にやって来ます。たとえば、家庭背景です。核家族の子ども、複数世代のいる家庭の子ども、親が一人しかいない子どもなどに出合うことでしょう。また、家族のもつ規範はさまざまでしょう。子どもたちは、社会的にも知的にも異なった刺激を受けています。それゆえ、彼らの興味と能力は異なったものになります。
あなたの仕事は、一人ひとりの子どもを「見る」ことです。子どもが持っているユニークな面を探してください。「私は、あなたのことを見ているよ。よくやっているね。努力しているのを見ているよ。助けてあげるよ」というような、ちょっとした励ましや認めてあげる視線を送ってください。毎日一人ひとりの子どもに働きかけることが難しいかもしれませんが、一日置きであればできるでしょう。
何も困っていないような子どもでも、教師に見てもらいたいのです。静かな子ども、いい子ども、恥ずかしがりやな子ども、消極的な子どものことはつい忘れがちです。
一方、うるさくしたり自慢話をしている子どもは「見られる」ということを知っています。また、駄々をこねる子どもの場合も「見られたい」という欲求は満たされることになります。
「一人ひとりを見る」ということは、いつもポジティブなことを探すということです。子どもが進歩したことを褒めます。具体的に褒めれば褒めるほど、子どもたちは望ましい行動を学んでいきます。
教師としての一番の仕事は、子どもに自信をもたせてあげることです。自分たちには何かができるということ、何かを学べるということ、そして彼らのアイデアや意見には価値があるのだと、信じさせてあげることです。
(アストリ・ハウクランド・アンドレセン:1952年生まれ ノルウェーの小学校副校長)
| 固定リンク
「教師と子どもの関係づくり」カテゴリの記事
- なめられる教師となめられない教師はどこが違うか、教師が心がけたいこととは 桶谷 守(2021.06.10)
- 教師の遊び心が子どもとの距離を縮める 斎藤 修・篠崎純子(2021.06.02)
- 子どもたちと人間関係が築けない教師の要因とその改善方法 山口菜穂子(2021.05.26)
- 教師が子どもから信頼されるには、どのように接すればよいか 関根正明(2021.05.19)
- 生徒と信頼関係をつくるうえで大事なことはなにか 杉田雄二(2021.04.24)
「子どもの見かた」カテゴリの記事
- 子どもの表現をいかに読み取るか アルフレッド・アドラー(2021.04.02)
- 変わったのは、子どもではなく親や教師だ(2020.01.29)
- 子どものとらえ方はしなやかに、そうしないと子どもに寄り添うことも、子どもを受け入れることもできない(2018.10.30)
- 担任が子どもたちを伸ばしていくためには、2つの目で子どもたちを見る必要がある(2017.10.31)
- 親や教師が子どもたちから信頼され、親密で素直な関係を築くにはどうすればよいか(2016.09.24)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント