私は教師として長年、明るく面白い子どもを育てることに情熱を燃やしてきた
「子どもが暗い国は、将来が危うい」言われます。明るく面白い子どもを育てるのは、親と教師の責任です。
私も教師としての責任を感じ、長年、明るく面白い子どもを育てることに情熱を燃やしてきました。
健康で笑いのある家ほど幸せなことはありません。お母さんが、何かにつけて笑っておれば、家族はみんな笑うようになります。面白いから笑うこともありますが、面白くなくても笑うのです。笑っているうちに面白くなるのです。
授業でも笑いのある授業は、やはりいい授業です。そんなクラスはいいクラスです。
昨日、銀行に行き、順番を待っていました。「○番の方どうぞ」と窓口の方が言うと、60歳ぐらいの女性が、大きな声で「ハーイ、私です」と言いました。その明るい大きな声にみんなニッコリしました。
今の大人は返事をあまりしません。タクシーの運転手でも、行き先を言っても返事もしません。ギスギスして、返事をする「ゆとり」をなくしているのでしょうか。
ゆとりとはユーモアのセンスです。よく笑う、よく返事をする、そんな生活習慣をつけたいものです。「笑う」というのは習慣です。いつもいつも笑っておれば明るい子どもに育っていきます。
「笑う土壌」はすぐにできるものではありません。気長に努力していくうちに、いつの間にかできるものです。笑う努力、それもなるべく大声で笑う努力をしているうちに、笑う習慣ができます。
私は、新しいクラスを担任するたびに「有田学級に入って一番大切なことは、よく笑うことです。よく笑う子がいい子なんです!」と言って、必ず一か月間、笑う練習をしました。朝起きたら、歯を磨き、顔を洗います。その後、鏡に向かって笑う練習をさせるのです。それから、お母さんやお父さんに、ニコニコしながら「おはよう!」と言うようにしつけるのです。朝の明るい声かけは、特に大切です。
一か月も続ければ、笑い声も、笑顔も、まったく違ってきます。ステキな笑顔が見られるようになります。
私は、教室に入る前も必ず鏡に向かって笑顔の練習をしました。いつもニコニコするように心がけました。
笑わない子どもがいます。「これはネクラだ。どうしょう」と思うような子どもに、何度も出会ってきました。出会うたびにファイトを燃やして、「七月までにネアカにしてみせます」とわざとお母さんに宣言して、努力しました。他人に宣言して努力しないと、なかなかできないからです。
子どもは「暗示にかけて育てる」ことが一番です。笑っていなくても「あれっ、今の笑顔はよかったね」と言うのです。すると「笑ってない!」と怒ったように言います。
「いや、笑ったよ。ほら、今も笑ったじゃない!」と、いつも笑っているように暗示をかけるのです。
面白いことに、そのようになるのです。家庭でお母さん方も、わが子に「面白い子ね」「よく笑う明るい子ね」と、自分の願いを「暗示」にするのです。そうすれば必ず実現します。
(有田和正:1935年生まれ、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授を経て,東北福祉大学教授。教材・授業開発研究所代表。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、授業の名人といわれている)
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