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早期教育は情緒の発達によいか

 1990年代に入って、急に早期教育がはやりはじめたときから、私は反対意見を述べてきましたが、早期教育は人格的な要素を欠く一部のエリートサラリーマンのように、情緒的な豊かさとか、社会性、主体性、柔軟性、意欲の高さなどが育たない恐れがあります。
 たとえば、シュタイナー教育の考え方によりますと、小学校に入るまでは「生命体を育てる時期」として、生物にふれる経験をたくさんさせることが大事である、といわれています。
 もし、この就学前の時期に、子どもに機械的に暗記するような学習を強制したならば、その子の知力は一見高くなったように見えても、この時期に育つべき意志力や行動力が育っていないので、結局、その思考力にも限界が来る、ということです。
 また、つぎの小学校の時期は「感情体を育てる時期」として、単なる知識のつめこみではなく「へえ、そうなのかあ!」というように驚きや感動をもって、すべてのことを感情体験として感じとらせるように学ばせることが必要であるといわれます。
 もし、この時期に、抽象的な思考を強制したとするならば、感情のまずしい、人間味のとぼしい人間にしてしまう危険性がある、と警告しています。
 日本の教育は、早期教育であれ、小学校教育であれ、単なる知識のつめこみが中心ですから、現代の子どもたちに、意志力や行動力が育っていないのも、豊かな感情や人間味が育っていないのも、当然の結果のように思います。
 就学前や小学校の段階で、塾通いなどの回数が多く、過剰な知的教育を強制されていると思われる子どもの絵ほど、空疎な印象の絵が目立っているのです。
(三沢直子:1951年生まれ、臨床心理士として心理療法など子育て中のお母さんをサポート。元明治大学文学部心理社会学科教授。NPO法人コミュニティ・カウンセリング・センターなどで、子どもや家族の問題に関わっている職員の研修・コンサルテーションや、地域のネットワーク作りに取り組む一方、親教育支援プログラムの普及に努めている)

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