その場で生徒を注意・徹底できない教師、反抗される教師はどうすればよいか
生徒を注意することが難しくなり、できない教師も増えている。
その場で注意できない教師、注意しても徹底できない教師、注意しても生徒に反抗される教師は、教師としての自らの適格性に疑問を抱いて苦しみ、悩み、心身症におちいる例も増えている。
だが「できません」と言っているだけでは、けじめはつけられない。
職員会議を開いて、注意できない教師について話し合うことになった。そこで次の3つのことを決めた。
(1)それぞれの教師が「その場で注意」できる教師に成長すること。周囲はそのことを組織的に援助する。
(2)今「その場で注意」できない教師は
・後で生徒を呼んで注意する。なるべくその生徒を人目のないところに呼んで注意する。
・職員室へ戻ってきて、関係教師に通報する。
・一般的注意や掲示などによる注意など工夫する。
(3)学習会を開く
・「注意」について学習する。
・「その場での注意」の仕方を学習する。
その後、すぐに学習会を開いた。ワークショップで「私ならこう注意する」といった指導方法を出し合い、実演しあって学習した。他の教師の指導を見ながら、それぞれの教師が自分に適した指導法を発見することにしたわけである。
生徒に怖がられている教師とそうでない教師とが、同じ言葉と態度で注意することはできない。それぞれの教師が個性に応じた指導法を発見できるように研修したわけである。
学校現場では、指導に苦手な教師のレベルからものごとを発想していくべきである。そうすれば、その発言を大切にとりあげることで、そこから教育の思想や技術を深めていくことができる。
たてまえで動く職場はかならず破綻するものである。
(家本芳郎:1930-2006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)
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