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親は子どもとどう向きあい、どのように育てればよいか

 親は子どもに要求ばかりを出すピッチャーではなく、子どものさまざまな思いを受け止めるキャッチャーであってほしい。
 親が家で子どもに多く言うことばは「宿題は」「早くしなさい」である。「お疲れさん」「どうだった?」はあまりない。
 子どもは、しっかり聞き、受け止め、共感してくれる人にこそ話をする。親は、日々、子どもに起きていることを笑顔をもって聞くことを大事にすべきである。
 子どもと一緒に楽しんで料理をつくることに力をそそいではどうか。料理ができあがるまでのプロセスを知り、技術を獲得するという、生きるための基礎的な力は今や台所でしか鍛えることができない。
 親の子どもに対する愛がやがて期待に変わり、塾、習い事の他者に金をつぎ込む子育てになる。願いは、揺れ膨らんで、ときには過剰な期待となって子どもに重くのしかかる。いつかは行き詰まる。
 子どもが親の期待にこたえてがんばろうとしている中で、子どもがどんな悲しみや発想や願いをもっているか、子どもの内面を親がじっくりと見つめることが重要である。子どもたちは今、自己否定感やストレス、不安を誰にも言えないでいる。
 親は子どもがそこまで思っていることに、思いを馳せられず真剣に聞こうとしていない。
 親子は血がつながっているという安心感で、子どもに対することばかけが単刀直入になったり、叱咤激励するだけで終わったりする場合が多い。
 親は学校からサービスをうける顧客、査定する評価者として学校や教師を位置づけるようになった。そして、親個人の価値観を向きだしにした要求を学校に突きつけ、相手の失敗を許さず攻撃する側面を強めた。
 教師の7割は親の対応に苦慮しているといわれている。けんかをした場合、ほぼ間違いなく、子どもたちは、親に対して自分の責任をうすめて話をする。親はわが子の言い分だけを聞いて、相手の子やその親を責め、指導が悪いと教師を責める。
 事実を解きほぐし、成長するために果たしてかなければならない課題を子どもに納得できるように明確にしていくためには、長い時間を必要とする。
 ゆっくりと時間をかけて見守り支えることが必要なのに、最近の保護者は、かなり性急に白黒をはっきりさせることを要求する傾向が強い。
 教師は、小さいときから真面目に生きてきた者が多いから、保護者の批判や攻撃にとても弱い。だから教師の指導力が低下したと攻撃される流れが強まっている。
 教師の3割が心療内科の治療を要する症状を持っていると言われている。しかし、過剰に要求する親もまた、自殺者が3万人を超える、個人の責任が常に問われる攻撃的な競争社会に生きているのである。
 わが子を大事にしたければしたいほど、親だけで全て育てよう考えず、わが子だけでなく、わが子と関わる人たちを大事にし、あてにしていくことである。
 子どもを育ててくれる力を持った場にわが子を連れ出すようにするとよい。私が大切にしたのは、登山である。歩くのが長時間に渡るきつい山でも、声をかけ合う小さな共同体がある。
 もうひとつは、興味を導く学びの場である博物館での体験学習やキャンブや野外生活体験など、学びの場はたくさんある。
 優れた教育力をもつのが読書である。本は、多くの人や世界との出会いを簡単に作れる。私の妻は、子どもが幼いころ毎晩、寝るときに絵本の読み聞かせを続けていた。作家の講演会に参加したりもした。私がしたことは、子どもに惜しみなく本を買い与えることと、私自身が本を読む姿を見せることであった。
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金森俊朗:1946年生れ、元小学校教師、北陸学院大学教授。「仲間とつながりハッピーになる」教育や人と自然に直に触れ合う命の授業を行う。NHKで日本賞グランプリ受賞)

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