« 私の学級には恐怖はない、静かで礼儀正しい安らぎの場所である | トップページ | 子どもへの言葉がけは「しなさい」から「どうしますか」へ »

生徒の問題行動が激減した

 本校では、喫煙や暴力行為、窃盗、万引きなど、問題を起こした生徒に対しては「家庭反省」という指導が行われていた。
 家庭反省となった生徒は、校長から訓戒を受けた後、家庭反省を言い渡され、数日間、家庭で反省し、最後に決意文を書いて提出したら、学校に復帰できる仕組みだ。
 私は、このシステムはまったく意味がないと考えていた。家庭で反省すると言いながら、生徒たちは少しも反省などしていなかったからである。これ幸いとばかりに、運転免許を取りに行ったり、遊び歩いたりする生徒がほとんどだった。担任の教師が家庭訪問に行くことになっていたが、形式的で「行ったけれど、生徒がいなかった」という報告が多く、そのたびに、家庭反省のあり方を検討すべきだと考えていた。
 そもそも、問題行動を起こしたらすぐに家に帰す、という方法に疑問があった。生徒はたいがい親に自分の都合のいいように報告するものだ。
 その結果、問題を起こした子どもの親が、逆に学校にくってかかってくるのである。
 「うちの子は何もしていない、なぜ家庭反省になるんじゃ」と、事実誤認のまま、ものすごい剣幕で突っかかる。「実際は違うんですよ、事実はこうなんです」といったことを、延々と説明する必要があった。
 そんな家庭反省の改革に矛先を向けた。問題行動が発覚したら、生徒を帰らせず、親に連絡して学校に迎えに来てもらうことにした。何時になってもいいから、その日のうちに親を呼ぶ。親がどうしても来られない場合は、担任の教師が生徒と一緒に家庭に行き、その場で事情を説明することにした。
 そして、家庭反省の代わりに「校内反省」をスタートさせた。生徒指導室の隣に別室を設け、問題行動を起こした生徒をそこに居させて、課題などに取り組ませるようにしたのである。生徒は、毎朝、授業が始まる前に他の生徒よりも早く来て、その別室に入る。そこで各教科から出された課題を行い、担任や教科担任が訪れてチェックをし、わからないところを教える。午後は、ボランティアの清掃活動などを行わなければならない。
 また、校内反省が終わっても数日間は、服装を正しているか、頭髪をきちんとしているか、授業態度が悪くないかなど、教室での生徒の様子を毎時間、教科担任がチェックをし、点検表を作成した。いくら別室でまじめにしていても、教室に戻ってまた問題行動を起こしたら元も子もないからだ。
 このように問題行動を起こした生徒への指導は、合理的かつシステマティクに、そして徹底的に行うようにした。効果はてきめんだった。生徒たちは別室に入ることを面倒だと思うようになり、問題行動が激減した。
 生徒との人間関係づくり、基礎学力の向上に、校内反省は多大な効果を発揮した。生活規律・学習習慣を確立することができた。
 さらに、以前は子どもの言いなりになって、文句を言うため学校に乗り込んできた保護者も、自分の子どもの行動を客観的に認めざるをえなくなり、学校の指導方針にだんだん理解を示すようになった。
 うわべだけの家庭反省に比べて、校内反省は明らかに効果のある指導方法であった。
(山廣康子:1949年生まれ 元広島県公立高校校長。荒れた学校をトイレを掃除するボランティア団体の協力を得て、学校を立て直した)

|

« 私の学級には恐怖はない、静かで礼儀正しい安らぎの場所である | トップページ | 子どもへの言葉がけは「しなさい」から「どうしますか」へ »

問題行動の指導」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 生徒の問題行動が激減した:

« 私の学級には恐怖はない、静かで礼儀正しい安らぎの場所である | トップページ | 子どもへの言葉がけは「しなさい」から「どうしますか」へ »