学級崩壊に向かう学級は枠組みが弱い
集団の目的や規範意識が希薄で、子どもたちが「こうだよ、いや違うよ」と混乱している。だから、やがて弱肉強食の論理で物事が進んでいく。
基本的には着席して話を聞くこと。教師の指示に従うこと。学習や生活のルールに従って友だちと協力し合っていくこと。こういう学校生活の枠組みがはっきりと示されず「席に着いて話を聞いてくれる?」などと、子どもにお伺いを立てているから、子どもは「どっちでもいいのかな?」と思うのだ。
子どもの成長には「動くもの」と「動かないもの」の両方が必要である。まったく身動きできない型に押し込むのはいけないが「何でも動かせる」と思わせてしまうと、学級は不安定になってしまう。
崩壊しない学級は「動かないもの」がはっきりしていて、子どもたちは迷うことなく動かないものを足場に、動かせるものを自分たちで生き生きと取り組んでいる。
子どもだから枠組みから外れることはある。そういう場合は、すぐに「今外れたよ。きちんとしよう」と指導しなくてはならない。
これを見逃すと、子どもは「おや? これは守らなくてもいいのかな?」と思う。動かないと思っていたものが動くことは、子どもたちを不安定にする。動かない足場がなくなるからだ。そして、子どもは安定を求めて少しずつ掟破りをしてみるようになる。
最初は、ちょっと乱暴な言葉づかいをしてみたり、ほんの少し時間に遅れたりするくらいだが、それらを見逃していると、だんだんエスカレートし、やがて収拾がつかなくなる。
これをしっかりと防がなくてはならない。そのためには「これは絶対にやめよう」「これをしたら、先生はすごく怒るよ」ということを、年度初めに、時間をかけて示すことが必要になる。また、ルールなどを明文化して掲示しておき、子どもたちが混乱しそうになったら、立ち返ることができるようにしておくことも効果的である。
(横藤雅人:1955年北海道生まれ、札幌市立小学校校長を経て北海道教育大学招聘教授)
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