問題行動が起きる前に何らかの兆候が必ずある、兆候に気づいたときはどうすればよいか
問題は小さな芽のうちに刈り取ることが重要で、その兆候をまず見逃さないようにしようという姿勢が大事です。不登校、非行など、起こる前に何らかの兆候が必ずあります。
毎日の子どもの表情や会話から変化を読み取る努力をしなければいけません。そうすれば体調が悪いのではないか、暗いな、今日は口数が少ないな、いらいらしているな、食欲がいつもよりないな、などいろいろなことに気がつくはずです。
そういうことに気づいて一言かけてあげれば解決するケースだってたくさんあるのです。この対処を間違えて問題を大きくしているケースが本当に多いのです。
何か気づいたことがあれば話をしてみることです。しかし、ただ、話をすればいいというわけではありません。
私が見てきた親に多いのは、たとえば、学校に行かなければ「学校に行きなさい」と言っています。これではあまりにも表面的です。言われた子どもは自分の意見は全く聞き入れられず、強制ばかりをする親だという意識を子どもに植え付けてしまっているだけです。言えば言うほど子どもからは敬遠され、悪い方向に行くこともあります。
変化に気づいたら、とにかく声をかけてあげる。そうすれば必ず反応が出ます。何も子どもが言ってこない。これも反応です。
子どもには子どもなりの理由があって、まずそれを聞いてあげてから考えても遅くはないのではないでしょうか。子どもだって、親が自分のことを考えているんだなと思えば悪い気持ちはしません。子どもは自分を見て欲しい、気づいてほしいという欲求を持っていて、それが満たされなければ何らかの形でアピールしてきます。
だから、私はとにかく子どもに注目してあげて、気づいてあげて、褒めてあげてということを常にやっています。もちろん悪いことをすれば叱りもします。
子どもからのアクションを待っているのではなく、こちらからまずアクションを起こすことです。放っておいたら、悪い方向にしかいかないということをまず頭に叩き込んでもらいたい。
子どもを救いたいと思うのであれば、自分が犠牲になってもいいから何とかしてあげようという気持ちをまず持たないと話は先には進まないのです。子ども救う方法論は心があって初めて役に立つものだと強く認識してほしい。
親に言いたいことは、何か問題があるからダメな子だなんて決して思わないでほしいのです。「心」を入れてあげることで、ダメな子はすばらしい子どもになるのですよ。それにはまずあなた自身が心というものを見直してください。
(伴 茂樹:心理カウンセラー。不登校、引きこもり、家庭内暴力などを解決するために、全国から青少年を預かり、私塾を40年以上営む。教育の中にゴルフを取り入れるというユニークな方法で、立ち直らせた子どもは1000人以上という実績を持つ。青少年育成クラブで子供たちの教育指導を行っている。講演、TV出演多数)
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