構成的グループエンカウンターの導入方法
構成的グループエンカウンターの導入方法は
(1)学級活動や道徳の時間に実施するとき
構成的グループエンカウンターの取り組み方やルールを説明するインストラクションの後、ウォーミングアップ、課題(エクササイズ)を行い、感情交流を通して気づいたことや考えたことを、語り合ったり自己表現するシェアリングまでの一連の流れを1セットとして実施します。
この方法は、学級集団の日常生活がふれあいのあるものにするための起爆剤となるものです。
課題(エクササイズ)は、学級集団に求められている内容、例えば、子ども同士の共感性の向上、他者受容などを選び、実施後は、その効果を学級生活に生かせるように言葉がけをしたり、場面を設定したりしていくのです。少し長いスパンで、学習指導、生徒指導、自己の確立の援助のバランスをとるという意味もあります。
私は、学級経営の年間計画にもとづいて、定期的に実施しました。
最初は集団生活の不安を軽減するもの、そして協同活動の喜びを体験できるもの、次に自己受容・他者受容が促進されるもの、その後、自己理解が深まるものから自己意識を高めるものへという展開です。
時期的なものでは、学級開きの直後、大きな行事の前後、学期のはじめとまとめの時期などです。
大事なことは、子どもや学級集団の状態をしっかり把握したうえで実施することです。また、既成の課題(エクササイズ)を選んだとしても、学級集団に合わせたアレンジが必要になってきます。
(2)授業や活動で実施するとき
構成的グループエンカウンターのエッセンスを盛り込むというやり方です。
例えば、
(1) 新しい理科の学習班を決めたあと
チームワークを高めるために、ウォーミングアップと自分の本音に気づいたり、他者と感情交流しやすいような心理的配慮がなされた課題(エクササイズ)を実施します。
(2) 運動会などの大きな行事や調べ学習のあと
感情交流を通して気づいたことや考えたことを、メンバー同士で語り合ったりしながら自己表現することで、意識化させるシェアリングを実施する。そこで、お互いの頑張りを認め合ったりします。
私はこの2つの方法を併用することで、構成的グループエンカウンターのエッセンスが日常の学級生活に根づいてくると思います。
ポイントは、子どもや学級集団の状態を理解したうえで課題(エクササイズ)を実施すること。日常の教師のあり方と構成的グループエンカウンター実施時のあり方にギャップが少ないことです。特に、学級の子どもたちが強く傷つかない配慮が必要です。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学教育学部教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)
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