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中学校の3者面談は修羅場と化す?

 中学校の三者面談は修羅場なることがある。
 一般にいう三者面談というのは、教師と生徒と保護者の三者による面談で、進路目標の決定に向けた目的で三年生の後半に行われる。
 私はこれまで、何百回と三者面談を行ってきた。大半の場合は高校進学のことになるわけだけど、クラスで何人かの三者面談は修羅場と化すこととなるのが通常だ。
 「先生、うちの子、○○高校には合格できるでしょうか?」と、親はおずおずではあっても、そのものずばりを質問してくることが多い。私たちは経験上、まず8割を超える確率でその生徒の合否は予想できるんだ。
 だけど、受験は水物だ。絶対なんてことはない。まあ、内申点が極端に低かったら、絶対無理と断言できることもあるんだけどね。そんな生徒の場合でも「大変難しい状況にあります」としか言わない。「まず、無理ですね」なんて言った方が正直であるかも知れないんだけどね。仮にそう言ったらどうなると思う? まず、
 「ほら、○○! あんなにしっかり勉強をするようにって、お母さん、毎日、口を酸っぱくして言ってきたのに。あんた、遊んでばかりで、ちっとも勉強しないからこうなるのよっ」と、動転した親が興奮し出す。あげくの果てには、涙をぽろぽろこぼして泣き出す始末だ。ぴりぴりしている生徒だって言われっぱなしではない。
 「何言ってんだよっ。せっかく勉強、頑張ろうと思っているのに、いつも口うるさいことばっかり言ってくるから、勉強する気がなくなるんだよっ」大体において「勉強しようと思っていたのに『勉強しろ』って言われたからする気がなくなった」というのは、受験生の決まり文句なのだ。
 親はいつでもいっぱいいっぱいの状態で子どもに接している。「でも、どうしても○○君が○○高校を受験したいというのであれば、受験するよりないのではないでしょうか?」私は勇気を振り絞ってここまで言う。
 「『安全に、安全に』というのも人生ですが、物事に挑戦する姿勢は大切なものだと思います。ただ、問題は、もし失敗したとき、第2希望の私立高校で卑屈な態度でなく、前向きに○○君が高校生活をつくり上げることができるかどうかだと思うんです」
 高校教師は、中学校の「輪切り」進路指導を批判してくる。高校教師にはそういう先入観ができあがっているみたいだ。一度、覗いてごらんよ。中学校の三者面談を。ほんと、修羅場だよ。
(山屋敷一:公立中学校国語教師)

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