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国語科:国語の導入のもつ役割にはどのようなものがあるか

国語の導入のもつ役割を三浦和尚は次のようにまとめている。
(1)
子どもの意識を学習に向ける
 理科など実験材料のような「もの」がある教科に比べて、国語は学習材の魅力いかんのところがある。歌を歌わせたり、低学年だと「手遊び」をさせることもある。場合によっていわゆる「無駄話」をして、顔を教師のほうへ向けさせることもあろう。
(2)
学習材の内容に関心を高め、意欲化を図る
 これからの学習がおもしろそうだという予感をもつことができれば、上出来である。
 読むことの学習材の場合、例えば学習材の表題「クジラの飲み水」(大隅清治)について「クジラは水を飲むの?」「クジラの飲み水って何?」など表題読みで関心を高めることはできる。
「宮沢賢治という人を知っていますか。作品を読んだことはありますか?」など知識から入ることも可能であろう。
(3)
これからの学習の見通しを立てる
 例えば朗読の学習を展開するときに「朗読発表会を開こう」という主題を提示すれば、子どもたちは「朗読発表会を開く」という明確な目的を意識して学習を進めることができる。
(4)
これからの学習に必要な知識や技能を確認する
 読むことの学習においては、まず本文に子どもたちをぶつからせることが望ましい。
 読む前にいろいろ語って、先入観を与えてしまうことは基本的には避けたい。
「あめ」(山田令次)や「故郷」(魯迅)などの場合、読みの過程で当時の社会状況にふれることがあるにしても、最初からそういった背景をもとに読む必要はなかろう。
 しかし、例えば「トロッコ」(芥川龍之介)の年代イメージや「やまなし」(宮沢賢治)の北の国のイメージなどは、作者を通して事前にイメージ化しておくことは考えられる。
 説明的文章の学習においては、その話題について理解しておくほうがよいこともあろう。
 また「話す・聞く」「書く」学習において、その話題や技能について確認しておくことが必要な場合もある。
(5)
これまでの学習とのつながりを明らかにする
 これまでの学習を振り返り、その流れの中でこれからの学習があるのだと、学習の必然性を確認する場合である。
(三浦和尚:1952年広島県生まれ 広島大学附属中・高等学校教師を経て愛媛大学教授(教育学部長)。研究課題は国語科学習指導の方法)

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