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私以外はみな私の師、教師が伸びていく上で最もたいせつな条件は素直さ

 本当にすぐれた授業にはなかなか出合えないものである。私など六十歳を越えても会心の授業などとてもできないままでいる。お恥ずかしいかぎりだ。
 教師になって二年目に地域の国語研究会で「若いうちは、たくさん恥をかいておけ」と私に授業をするように言われて引き受けた。
 私は「無言の行」という十訓抄の笑い話の授業をした。笑い話の授業なのに何となく白けて良い授業とは言えなかった。私の後にベテラン教師の授業があった。立ち上がりはやや鈍かった授業は時間が経つにつれ活気を増していくことに私は驚きを覚えた。
 私はこのとき「授業は教師の力量次第である」という思いを味わった。この感銘は、その後の私の教師修業の底流となった。
 「授業の責任はいっさい授業者にあるのだ」という自戒の思いは、授業に失敗したときでも、自分の成長の糧として生かせ得るようになった。
 かくて、私は授業を好み、授業にかけ、燃え、こだわるようになった。研究授業は苦痛のたねとされるが、私は苦労も、苦心も、辛さもあったが、それを越えてもたらされる楽しさがあった。
 ベテラン教師は、講話の中で私の授業にもちょっと触れて話してくださった。「そもそも十訓抄に出てくる話というのは、いずれもそんなにおかしい話、大笑いするような話ではない」と言われた。
 この一語が私には大きな示唆となった。私は今日の授業に使うものにだけ目が奪われて、その背景やら、出典やら、原典やらにまで目を向けることなど、まったく眼中になかったのである。
 新しい授業のあり方に開眼させられる貴重な機会となったのである。やはり、この授業を断らなくてよかったのだ。かつて千葉大学付属小の名校長であった四宮教授は「伸びていく上で最もたいせつな条件は『素直さ』ということだ」とよく言っておられた。本当にその通りであると思う。
(野口芳宏:1936年生まれ、元小学校校長、大学名誉教授、千葉県教育委員、授業道場野口塾等主宰)

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