教師の指導力のあるなしで異なったクラスになる、指導力をつけるには?
教師の指導力のあるなしによって、まったく異なったクラスになる。やはり問題は教師の指導力があるかということにつきる。
教師の指導技術にはありとあらゆるものがある。しかし、すべてを語ることができないので、いくつかにしぼって述べることにする。
子どもを生かし、本気になって追求させるには、子どもに「おもしろい! というはてな?」をもたせなくてはならない。それには、第一に「発問・指示」をきちんとすることである。授業の上手な教師、子どもを引きつけて離さない教師は、本当にうまい「発問・指示」をする。例えば「東京23区に牧場があるだろうか?」という発問は子どもの意表をつき、子どもたちは必至で調べ出した。
授業の中心は「発問・指示」といってよいだろう」
発問・指示を行うと、子どもは反応する。この子どもの反応を「集約・焦点化」しなければ、考える学習にならないし、深まっていかない。
この「集約・焦点化」するのに役立つ技術が「板書」であり「資料活用」である。子どもたちの発言や調べたことなどを集約し、焦点化しながら板書していくのである。
書かないと子どもにはわからない。視覚と聴覚をフルに使うことである。板書は「五感に訴えるもの」だといえるのである。
次の「資料活用」は、情報収集、資料作成、資料提示の三つをまとめていっている用語である。資料作成の技術は、教材研究の技術といってもよいくらい深くかかわっている。
なぜなら、教材研究をし、情報を収集したエキスを、「子どもが見たくなるような資料」の形に作成するからである。よい資料は子どもを熱中させる。子どもを「追求の鬼」にする。
授業の上手な教師は、資料作成もうまい。資料作成のしかたがよいから、よい授業ができるのである。
授業を進めるには、教師の「話術」「表情」「パフォーマンス」などの技術もなければならない。
教師が子どもに話すときは「短く、おもしろく」必ず笑い話を入れるように努力するようにする。
これらの技術を生かしてよい授業を行うには「学級づくり」がきちんとできていなければならない。これは基盤である。一人ひとりの子どもをきっちり生かすには学級が大切である。
学級というのは「助け合い、みがき合い、けん制し合い」の三つのことが機能していなければならない。
今一番弱いのは「けん制し合い」である。友だちが悪いことをしていても、注意しない。友だちが困っているのに助けようとしない。これでは学級とはいえない。
教師は、きちんとした授業をつくりながら、きちんとした学級をつくって子どもを育てなければならないのである。
(有田和正:1935年生まれ、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授を経て,東北福祉大学教授。教材・授業開発研究所代表。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、授業の名人といわれている)
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