教えたいことを教えるのではだめだ
私は、教えたいことを教えるのではだめだという考え方を持っている。
たとえば山に登るのにロープウェーですぅーと登るようなもので、やり方だけを教える。これでは全然子どもたちの成長にプラスにならない。
子どもは、汗水流して登っていき、ときには道を間違う。引き返してまた行く。やっとたどり着いて初めて筋力も判断力も育っていく。そういう意味では「教えたいことを教えない」ということがとても重要である。
例えば歴史の授業で、奈良時代に、唐へ行った人たちはなんのために行ったのだろうということを考えさせる。
すると子どもたちは、食べ物を知るためとか、町のようすを見るためなどと答える。その根拠も子どもたちに聞く。
そして教師がヒントを示す「実は行った人のなかには貴族、坊さん、学生がいた」と。すると子どもたちから政治、仏教、文化が出てくる。子どもたちはひとつひとつ理解を深めていく。
海があるがどうやって渡ったのか、ルートはどうか。どんな困難があっただろうかなど考えさせていく。
教科書や本は一切見せない。あとで使う。答えなんか間違っていてもかまわない。
子どもたちに推理・想像させることが大切である。
(今泉 博:1949年生まれ、東京都公立小学校教師を経て北海道教育大副学長(釧路校担当)、「学びをつくる会」などの活動を通して創造的な授業の研究・実践を広く行う)
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