教師が上達するために一番大事なのは素直であること
千葉大学附属小学校の四宮晟校長に「人間が向上するために一番たいせつなものはどんなことでしょうか」と、お伺いしたところ、「それは、野口さん、『素直』ということですよ。『素直であること』が、上達の一番大事な条件です」と、絶対に間違いがないという口調で話されたのである。さらに、
「人から学ぶこと、自分で考えぬくこと、いずれも、自分の至らなさの自覚からの出発です。さまざまの、すぐれた知識や技術、教訓というものを、自分を無にして素直に受け入れる人は必ず伸びていきますよ」と、先生はこうつけ加えられ、さらに、
「中には、それができなくて、いちいち反発したり、意固地になったりする人がいるでしょう。そういう人は、一見いかにも主体性があって伸びるように見えて、けっしてそうじゃありませんよ。油紙みたいに、結局みんなはじいてしまうから、血や肉にならないんです。教えに対して謙虚に耳を傾ける素直さ、これこそが自分を上達させていく、一番肝腎な条件ですよ」と、まことに分かりやすい、そして的確な教訓であったと、今でも時どき思い出す。
むろん、素直でさえあればいいということではない。何でもかんでも人の言うとおりになれなどということではない。時には鋭い反発も必要だろうし、確固とした信念のもとに邪見を払う強さも必要になるだろう。
しかし、根本には、正しいもの、すぐれたもの、価値あるものの前には、無心になってそれらを受け入れる素直さがなければならない、と先生は説かれたのだと思う。
(野口芳宏:1936年生まれ、元小学校校長、大学名誉教授、千葉県教育委員、授業道場野口塾等主宰)
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