うまくいかない原因は自分自身にある
およそ物事というものは、用意周到な計画をたてていったら、失敗はほとんどないといってもいいと思います。
それが次つぎに失敗があるということは、やはりなすべきことをちゃんと考えていない。あるいは考えていても、実行していないというところに多くの原因があるものです。
会社の経営でも、うまくいかない点があるという場合は、ほとんど100%といっていいほどその原因は会社自体にある、またお互い自身にあると考えられるのではないでしょうか。
世間が不景気だからうまくいかない、といいます。なるほどそういう点はありましょう。
しかし、それは、みずからをそこで慰め、やむを得ないことと諦めてしまっている姿ではないでしょうか。
不景気というものについても、”なすべきことをしていれば、不景気によって影響される事柄は、ほんとうはないのであって、影響を受けるということは、その状態を会社やお互い自身がつくっているからである”と解釈すべきでしょう。
競争が激しいから経営が困難になった、という場合でも、その会社がなすべきことをちゃんとなしていれば、競争が激しければ激しいだけ、かえって高く評価されて得意先が集まってくるということにもなると思います。
得意先を他にとられるということは、ひきつける実力というか、魅力に欠けるところがあるからそうなってくるわけです。
とかく私たちは、自分に都合のいいような解釈をしがちです。深い原因は自己にあるという反省をしなければならないと思います。
実際、何かうまくいかないことがあったとき、あとからよく考えてみますと、「あのとき、こういうことをしておけばよかったのに」とか「ああいうことはやる必要のなかったことだった」とかいったことが、次つぎに出てくるものです。
深く反省することによってそういうことに気がつくかつかないか。そのことは会社が順調に発展していくかどうかに大きくかかわっていると思っています。
うまくいかない行きづまりの原因というものは、外部なりいろいろの事情はあるにしても、そのほとんど100%、まあ少し割り引くとしても95%までは自分にある。決して外部にあるものではない。
そういう考えでやっていけば、そこに非常に新しい工夫がついてきて、不景気には不景気としてやっていく道、競争の激しい中では競争の激しい中でやっていく道というものが、必ずひらけてくるものだと思うのです。
(松下幸之助:1894-1989年、パナソニック創業者、経営の神様と呼ばれ、日本を代表する経営者)
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