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話術を習得する近道とは

 芸でも仕事でも、一人前のことができるようになるまでは「見習い」と呼ばれます。これは、「未熟なうちは、見て習いなさい」ということです。
 あまり「教えてくれ」と言うものじゃありません。簡単に教わったことは、それだけ早く忘れます。それに対して、教わってもいないのに、自分で一生懸命に見て身につけようとした技術は、いつまでも覚えているものです。
 話術もそうだと思います。ですから、職業上の話術を身につけたいのであれば、まずは上手いと思う人の現場に行って、そばで邪魔にならないように見せてもらうのがいちばんでしょう。
 表面的な言葉づかいだけでなく、場の「空気」を読みながらの対応、駆け引き、相手とあうんの呼吸のようなものを見て習う。
 それをできるだけ早く、実践の中で試してみる。それが職業上の話術を習得する、いちばんの近道だと思います。
(
一龍斎貞水:1939年東京都生まれ、講談師。講談で初めて人間国宝に認定。講談協会相談役)




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