学級崩壊で子どもたちの暴言に心がなえたが職場の仲間に支えられた
私のクラス(六年生)が学級崩壊に陥ったとき、管理職や加配の同僚に複数で教室に入ってもらい、私が授業しているそばで見てもらうという体制をとった。
私ひとりの力では集団をまとめることができなかったから、わらをもすがる思いだった。
子どもたちは「ひとりでは何もできないから他の先生をよんでくるのか。教師失格や」「さっさと休んだらいいのに」と、きこえよがしに叫んでいた。私は正直、心がなえた。しかし私は休まなかった。職場の仲間の支えが大きかった。
子どもとの関係が悪くなり信頼関係が崩れると、子どもや保護者の反応は厳しくなる。私を支持するような態度に出るといじめの目標になるので、これまで心を寄せてくれていた子どもたちも反抗的な態度をとるようになった。
子どもとうまくいかなくなると、自分を責め、殻にとじこもってしまう。そうすると事態は進展せずますます悪くなる。一人で悩んでいるだけでは何も解決しない。
子どもとの関係づくりができないということは、私自身の指導上の問題や弱点があることは明らかである。だからこそ打開するために、同僚の知恵と力を貸してもらおうとした。
職場のあらゆる人に悩みを聞いてもらった。恥ずかしいし情けない。つらかったが次第に気分的にも楽になり、正直に話せば人は助けてくれるということもわかってきた。
そんなとき、自分がなぜ教師になったのか、もう一度原点に返って考えること。どんなにてこずらせても、子どもはかわいいなあ、と思い続けられるかが試金石のように思う。「人生、なるようにしかならんよ」と、よく言われる。なんとなくわかってきたように思った。
教師に対する子どもの攻撃が強まるとき、教師は何によって対応できるか。山﨑隆夫(元小学校教師)によればつぎの二点をあげられている。
(1)豊かな学びの世界に子どもを誘うことによって、教師に対する尊敬を生み出したい。魅力的な授業を展開したり、瞳を輝かせて子どもの声を聴き取り、クラス全体の学びにつなげていくと、子どもたちの教師を見る目は変わっていく。それは辛い道のりだけれど、子どもに変化を生みだすきっかけを創り出していくだろう。
(2)子どもの指導にあたっては、高い願いを掲げるのをいったん置くようにする。そして、今を生きる子どもの声や願いを聴き取りながら、子ども特有の今ふうの言動やこだわりを見つめ、その可能性を探っていく。回り道や散歩道を楽しむように子どもと一緒に歩み続け、教師の願いを重ねていくようにしたい。
(吉益敏文:1952年京都市生まれ、元京都府公立小学校教師。教育科学研究会副委員長)
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