子どもが寄りついていく教師は聞き上手である
子どもが寄りついていく教師には共通性がある。その一つが聞き上手ということである。
聞き上手な教師は、子どもたちの話をじつによく聞いている。教師として言いたいことをぐっと押さえ、胸にしまいこまないと、子どもの話を聞くことはできないのである。
子どもは自分の話をよく聞いてくれる教師が好きになる。
その聞き方は、子どもを傷つけないように五つのことを守っただけで聞き上手になることができる。
(1)肯定的に聞き、否定的には聞かない
子どもたちが気持ちよく話せるように「そうか」「へーえ」と聞いてやる。教師が知ったかぶって「それはちがうだろう」などと、否定せず、子どもの話は肯定的に聞いてやる。そうすると、教師に聞いてもらおうとして、話しかけてくるようになる。
(2)まちがっていても許容する
子どもの話はつじつまのあわないことが多い。だが、ささいな矛盾にとらわれず、揚げ足をとったり、まちがいを責めたりしないことだ。子どものいわんとすることをまっすぐに聞いてあげる。
(3)話の腰をおらない
教師はすぐに、子どもの話にたいする評価を入れて、流れを断ち切る。
あるとき、子どもが自分の父親を「あのくそじじいが」と言うから「自分の親をくそじじいなんて言ってはだめだ」と言うと「話しづれえなあ」と口をつぐんでしまったことがあった。
ともかく、話の流れを断ち切らずに、一気に聞くことである。
(4)だいじな話を聞く場合は、気が散るものは遠ざける
子どもの視線の中に動くものをおかない。テレビ、携帯を切り、音や人の話し声のしないところに行く。
(5)子どもの話にすばやく反応する
くりかえしの技法や「なるほどね」とあいづちをうつ。「大成功だったね」と感心する。「それでどうしたの。怒られたんじゃないの」と少し質問してみる。
いずれも、話をはずませる聞き方で、「きみの話をよく聞いている」ことを示している。
(家本芳郎:1930-2006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)
| 固定リンク
「話の聞きかた」カテゴリの記事
- 聞く態度が身についていない子どもがいるとき、どう指導すればよいか(2019.03.27)
- 他の子どもの発言に無関心な子を、聞き上手にするにはどうすればよいか(2018.11.30)
- 子どもが寄りつく教師に「聞き上手」という共通性がある、どうすれば聞き上手になれるか (2016.12.11)
- 話してもわからない、理不尽な苦情を言う保護者の話の聞き方のポイントとは(2016.02.26)
- 子どもが寄りついていく教師は聞き上手である(2015.01.19)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント