教師に向いている人、教師に向いていない人とは
教師になるためには「人間が好き」なことが大前提です。人間嫌いな人だと、子どもたちにも否定的な眼差しを向けてしまいます。
親をはじめ、さまざまな人からいろいろなことを言われる職業ですから、プライドが高すぎて傷つきやすい人は、あまり教師向きではありません。精神的にタフな人がいいです。
先入観や決めつけで他人を評価するクセのある人や、自分の物差しですべてを計ってしまう自己中心的な人もどうかなと思います。
教師には生真面目な人が多いですが、その度合いが過ぎて苦労している人も少なくありません。先日、ある教師から相談を受けました。よく、子どもたちに「先生、怖い顔している」などと言われるそうです。実はこの先生自身も、子どもたち同様、毎日緊張しているのです。朝、子どもたちに会ったときに緊張しているから、自然な声かけができない。他人からはよく真面目とか、融通が利かない、と指摘されるそうです。
確かに、真面目で融通が利かない性格の人は、教師のような毎日がハプニングの連続のような仕事は少々キツイでしょう。子どもはこんとんとしたところがあるので、白黒はっきりつけないと気が済まない性格の人は苦労すると思います。
校長先生から私に指導してやってくださいと言われる教師で多いのは、生真面目で融通の利かない人です。校長から「あなた、もっと肩の力を抜きなさい。ジョークのひとつくらい言えるようになりなさい」と諭されるタイプです。
私は、その生真面目さを捨てるのではなく、むしろそれを個性として生かせればいいと思います。ベテランの教師に急に「柔らかい性格になれ」といったって無理な話です。
大切なのは、自分の性格を教師向きなものに変えるのではなく、いまの自分の個性、性格を活かした指導方法を開発することです。
すべての教師が「子どもの言うことをよく聞いて、リーダーシップもあって、人気もあって、冗談も言える」ような理想の教師になれるわけがありません。それをめざそうとするから無理が生じるのです。
大切なのは、自分の持ち味を活かした新しいあり方を見出すこと。生真面目な人なら、その性格を活かして学校で一番几帳面で信頼できる教師になる。ちょっと頼りなさそうに見える教師は、その頼りない雰囲気を活かして誰もが近寄りやすい教師をめざせばいいのです。
自分の性格を否定しても、何も生まれません。もって生まれた「個性」「持ち味」を活かす道を探していくべきです。
(諸富祥彦:1963年生まれ、明治大学教授,臨床心理学、カウンセリング心理学、現場教師の作戦参謀としてアドバイスを教師に与えている)
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