教師がお互いに支え合うチームワークが崩れてきている
学級が荒れてきたり、保護者対応に困っていても、職員室は殺伐とした雰囲気で、相談したり、弱音を吐ける相手がいません。頼みの綱であるはずの職員室の雰囲気は、冷えきってしまっています。
こうして孤軍奮闘した教師が、うつになって休職したり、敗北感を抱かえながら教職をあとにする。そんな教師がたくさんいます。
いっぽうで、「うつの先生が大変なのもわかりますが、残された私たちも仕事が増えて大変なのです」とおっしゃる教師がいます。
うつになった教師も、残された教師も大変なのです。
私はこういう先生を責める気持ちはありません。仲間がうつになっても思いやる余裕がないのは、本人の責任ではなく、学校のシステムに余裕がなさすぎるせいです。
最近、学校の教師のチームワークが崩れてきました。
「親分肌の校長が減ってきた」と多くの教師が嘆いています。昔の校長は学校行事の前には、「みんな、自分の信念で好きにやってくれ。責任は私がとる」などと言ってくれ、教師もやる気が起きました。
しかし、最近では、「みなさん、ご自分の思いでやられるのは結構ですが、責任はどうぞご自分でとってくださいね」といった校長が増えています。
こうした校長や教師に対する評価システムの導入などで、教師のチームワークが崩れてきたのです。教師同士でお互いに支え合えれば、たいていのことはどうにかなるものです。
教師のチームワークが崩れてきたことに、私は大変な危機感を覚えています。
(諸富祥彦:1963年生まれ、明治大学教授,臨床心理学、カウンセリング心理学、現場教師の作戦参謀としてアドバイスを教師に与えている)
(教師の悩みとメンタルヘルス 諸富祥彦著 図書文化 2009年)
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