十分な声量で自信をもって何が良くて何が悪いか話す
教師にとって声は財産である。
学校の教師は一人で大勢の子どもに教える。教える子ども一人ひとりに平等に声が届くこと、平等に理解させることに努力するのは当然のことである。声が小さい教師だと、子どもは先生が何を言っているのかわからない。
真面目な子どもならば、聞こうと思う。そのために体中の神経を集中させる。全身を耳にするという表現がピッタリの状態である。聞くことに精神を集中させるために、グッタリしてしまう。このような状態に子どもを置いてはならない。余分な神経を使わせてはならない。子どもがリラックスしている状態で、教師の話が聞ける、というのに十分な声量が教師には必要である。
声量と同時に、全員に話を聞かせる気配りも必要である。教師が話しているときに、騒いでいる子どもがいたり、作業中の子どもがいたら、いったんやめさせるのが教師の仕事である。
特に「良い、悪い」は、自信をもってはっきりとした声で子どもにしっかり伝わらなければならない。
子どもを指導するときは、事前に「よい、悪い」の基準を子どもに知らせておくようにする。
「こういうことを、してよい・した方がよい」「こういうことは。してはいけない・しない方がよい」等を人間性の未発達な子どもに伝えれば、子どもにとって方向性が見えてくる。
こういうことをすればほめられる、ああいうことをすれば叱られる、といったことが事前にわかっていれば、子どもなりに大好きな先生にほめてもらおうと努力する子もいるだろう。
なるほど人間として生きていく上で、ああいうふうにすることが大切なんだな、家では誰も言ってくれないが、世の中ではみんなそう考えているのか、と思う子どももいるだろう。
そうやって人間としての生き方、学習の仕方を身につけていくのが学校なのである。
はっきりと自信を持った声で、何が良くて何が悪いかを教師が話すことで、学級崩壊も防ぐことができる。
(飛田貞子:東京都の公立小学校教諭を経て小学校校長)
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