大人たちが子どもや学校の現実を自分の目で見ようとしていないところに問題がある
大人たちが子どもや学校の現実を自分の目で見ようとしていないところに問題がある。
私は2000年に教育改革国民会議の委員に任命された。びっくりしたことは、ほとんどの委員が現在の子どもの状態や学校の実情をまったく知らないことだった。21世紀の日本に必要な人材をどう育てるか、という関心は深いのだが、現在の子どもが直面している困難な問題には、ほとんど関心がないようだった。
会議に参加するなかで、文部科学省の官僚たちが、学校現場や生徒の現実について現場の私とはまったくちがったとらえ方をしていることに気がついた。官僚たちは、自分たちのとらえ方が絶対的な真実であると信じて疑わないようだった。勘違いした現実をもとに政策を立てられたのでは現場は混乱するだけである。いちばん苦しむのは生徒たちである。
しかし問題は、教育改革国民会議の委員や文部科学省の官僚にあるだけではない。マスコミをはじめとする世の中の識者、評論家、大人たちが、子どもや学校の現実を自分の目で見ようとしていないところにあるのではないか。
ひ弱でキレやすく社会性のない子どもたちは、好きこのんでそのように育ったわけではない。私は、経済的な豊かさと個人第一の自由な社会が達成されるなかで、必然的に登場した子どもたちだと考えている。
とすれば、私たち大人の責任は大きい。子どもの社会的自立のための学校の教育力も大きく低下している。大人たちが自分の目で現実をみすえ、問題の解決のために動きはじめることが、いまもっとも必要なことなのである。
(河上亮一:1943年東京都生まれ、埼玉県公立中学校教諭、教育改革国民会議委員、日本教育大学院教授を経て、埼玉県鶴ケ島市教育委員会教育長、プロ教師の会主宰)
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