子育ての目標の第一は子どもの自立におかなければならない
人間は生まれながらみんな違う。能力も好みも、心も体も、みんな違うのである。とすると、人生がさまざまな方向に向かってあたりまえである。みんなが勉強できなくてはいけないというのは乱暴な話なのだ。
子育ての目標は、第一に自立におかねばならない。親が不幸にもはやく死んだ時、残された子どもが一人でもやっていく力を身につけていることが親の最低の責任なのである。
いくら時間とお金があるからといって、子どもをペットのようにいじくりまわす権利など、親にあるはずがない。
子どもの本質にそった生き方が一番無理のない道なのである。そうすれば子どもは生きる自信をとりもどすだろう。自分の人生を自分が生きる、という一番大切な子どもの権利は、親も教師も犯してはならないのである。
個性尊重などという言葉にだまされてはいけない。まず自立させること、そして本人がやる気なら、自分の力は自分で伸ばすしかないのである。自分からということがないかぎり、個性など伸びるわけがないのだ。
たとえば、私立中学校をめざす親と子について考えてみよう。一生懸命勉強して少しでもいい大学へ入ることが最大の価値であるという考え方である。したがってあらゆる時間を勉強のために使おうとするわけだから、ひずみが出てこざるをえない。
トラブルに立ち向かったり、一人で生きていくための生活能力を鍛えたり、というような生きる力を身につけることが手抜きにならざるをえない。とすると、社会に出てうまく適応して生きていくことができるだろうか。
また、勉強は自分ですすんでとりくんだわけではなく、教師や塾の先生に手とり足とりやらされてきた勉強など、本当の力にはなりえないものだ。とすると社会に出た時、自分から仕事に取り組むことが非常にむずかしいのではないだろうか。
私立中学校に入れるかどうかは、じつは、親の生き方と子育ての問題なのである。それをいい加減にして学校におまかせ、という態度では、結局子どもを捨てていることと同じになる。
ひ弱でわがままな子どもをどうするか、どうやって自立させるのか、ということがじつは根本的な問題だからである。
(河上亮一:1943年東京都生まれ、埼玉県公立中学校教諭、教育改革国民会議委員、日本教育大学院教授を経て、埼玉県鶴ケ島市教育委員会教育長、プロ教師の会主宰)
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