子どもの個性を生かす分団式動的教育法
及川平治は成績が劣る子どもに適切な教育を実施するために、内容によってグループに分けて学習する分団式教育を行った。
分団式教育は授業の最初からグループ分けするのではなく、一斉授業の中で、教材内容や、子どもの学習の状況に応じて、「全体」「グループ」「個別」と変化させて学習し、子どもが能動的に学習する力や自学自習する力を育てることを目的とした。
分団式教育はグループ学習のみならず、全体学習も含んだ教授方法である。
グループ学習をする分団は固定しないで、教材内容や、学習者の学習理解状況に応じて、日々編成し直した。
及川の提唱した「分団式動的教育法」は、
(1)教育を固定した形式にとらわれず、動的にとらえる
(2)子どもの能力は多様であるという事実をふまえる
(3)学習法を訓練するという立場に立つ
という「三大主張」に立脚したものであった。
わが国の「個性」を生かす教育の原点は、明治末期からの教育改革の動向と関連し、及川の「分団式動的教育法」は子どもの能力や特性の違いに応じた教授・学習活動を展開させようとするものである。
及川の「個性」を生かす授業は、教授・学習を一体化して、子どもの自己活動を重視し、教師の授業を構成する力が必要となる。
形式主義を批判し、「指導の個別化・学習の個性化」をねらい、学級の全員がわかる授業をするという願いで生まれた及川の実践はわが国の大きな遺産となっている。
(及川平治:1875-1939年、苦学して教師となり、明治末年から昭和10年代初期まで兵庫県明石女子師範学校附属小学校で主事として教育改革に挑み、わが国教育の発展に多大な功績を残した)
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