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探偵が経験したことからいえる、いじめの実態とその防止策

 私の探偵事務所に毎日のようにいじめ相談の電話がかかってくる。そういう電話のうち実に9割は、よく話を聞くと探偵の調査など不必要と思われるケースだ。
 子どもがいじめられていたら、いじめを告白しなくても、親はいつ、どんな変化が子どもに現われたのかを記録し、学校に相談していじめをなくす努力をすることが大切だ。そして親が学校で先生からいじめの様子を聞いて、いじめている相手が誰かわかったら先方の親と話し合って解決する。これが本来の筋道だ。
 だが、これらを一切行わず、いじめ調査で証拠を取ってから学校と話がしたいという親が増えている。これは危険だ。まずは親が子どもと向き合い、親がきちんと対処している様子を子どもに見せるのが重要だ。もし、仮にいじめがなくならず、子どもが死にたいと思ったときに、それを思いとどまらせるものは、その子と真剣に向き合っている親がいるという事実だ。
 私の経験から言えば、いじめ問題の大半は周囲の大人、親や教師が本気で取り組む姿勢を見せれば解決できる。本気になった時点で半分は解決していると言ってもいい。
 だが、万引き強要など犯罪性が高く、いじめの実態が把握しにくいケース。過酷ないじめを受けている子どもが口を閉ざし親にも告げないケース。親がいじめを認知し学校に相談したにもかかわらず学校が対処してくれないケースは調査が必要である。
 子どもが告白せず進展がない場合、私は子どもの家で面談する。最初はたわいもない話をしながら「きみは、自分で転んだとか言っているが、どれだけ不自然かわかる?」と尋ねたりする。「このままだと、一生やられるよ。いじめを認めていじめられないようにしないと一生やられるよ」と尋ねる。3時間はかかるのが通例だが、ほとんど「実はいじめられている」と言い出す。
 いじめられている子がいじめの事実を認めると、学校の対応は道徳の時間でいじめ問題をしつこく取り上げる。いじめられている子を保健室に隔離する。いじめている子を監視対象に置くなど防止策を講じようとする。8割の学校で加害と被害の子どもを引き離す校内隔離が行われ、2割は転校、元通りにする。私の経験ではこのような対策が6割の学校で講じられ、いじめが解消し出す。
 いじめの事実を示しても4割の学校では有効な防止策を講じない。子どもがいじめられている事実を話そうといない。そのような場合、親の依頼があれば、探偵が調査をし、動かぬ証拠を集める。いじめを認めざるをえない状況になると学校は何らかのいじめ防止策を講じる。いじめの損害賠償は、被害者、加害者双方の親を学校が引き合わせ、話し合いをセッティングする。
 中には、加害者が凶悪と判断される場合は、私は調査の早い段階で、親に警察への相談を勧めたり、しばらく学校を休んだほうがいいと進言したりする。
 いじめを行っている子どもは一見すると普通の子だ。今の子どもたちは、いじめられている子を人間とは思っていない。オモチャであって人格を意識しているとは思えない。
 調査が必要となる過酷ないじめを受けている子どもは、いじめのサインや兆候を周囲に示している。表情が暗く覇気がない。親に学校や学校の友だちの話をしていた子どもが急に話さなくなる。一人部屋に閉じこもってボーッとしている。以前より動きが緩慢に見え、だるそうにしている。これは私が出会った子どもに共通する。
 身体にけがやアザが残っていたら要注意だ。以前に比べ動作や姿勢がおかしいと感じたら暴力的ないじめを受けている可能性を疑うべきだ。ケータイに対する変化(見なくなる、着信音に怯える、「こめんね」と言う、繋がらなくなる)はわかりやすい兆候の一つだ。
 子どもの目を見て話す習慣のある親はこの変化に気づく。そこで「何があったの?」と聞いてあげる。「実は・・・・」と、子どもが言える家庭内の雰囲気が大切なのだ。
(
阿部泰尚:1977年東京都生まれ、探偵社代表、カウンセラー、探偵養成学校校長。探偵として初めていじめ調査を受け、約250件のいじめを手がける)

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