今の子どもは親からの過酷な攻撃にさらされている
本来、子どもは親に守られ、支えられてこそ、平和な内界(無意識の世界)が保たれます。
そして、親に守られて育った子どもは、自分が親になったとき、子どもを守るのが当たり前のようにできます。
しかし、今の親は、親から守られることを経験していないことが多いので、自分の子どもを守ることができないのです。それどころか、自分の苦しさを子どもに向け、子どもが苦しさを背負わされているのが現状です。
また、親に虐待されて育った子どもは「自分が親になったら、子どもには決して虐待をしない」と意識の上では思っていますが、実際に自分が親になると、自分の子どもに虐待をしてしまうのです。
このように、現代の子どもは親から守られず、ときには怒りを向けられることさえあるので、内界(無意識の世界)は不安と恐怖が充満しているのです。
子どもたちが、大人たちにこれほどまでに攻撃にさらされ、守られない時代は、いまだかつてなかったのではないでしょうか。
「今の子どもたちは、モノが豊かに与えられ、甘やかされて、わがままに育てられたから、不登校やひきこもりが増えた」と評論家が言うのは、的外れではないでしょうか。
子どもたちに起こっている問題を解決するためには、根本的な原因である親の心を変えねばなりません。
親に守られずに育った親は、親との関係を解決して、内界(無意識の世界)が親に守られた世界になれば、今度は目の前にいる自分の子どもを「守る」ことができるようになります。
そうすれば、自然と子どもの心も癒されて、問題行動が消えていくのです。私が、親との心理面接だけで、その子どもの問題が解決していく理由は、そこにあるのです。
(注) 網谷由香利:心理療法家、サイコセラピスト(心理療法を用いて治療を行う専門家)、臨床心理士。「佐倉心理療法研究所」所長)
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