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教材を徹底的に追究する「組織学習」で、子どもたちの論理・追究力・創造力が強くなる

 島小学校では、授業を四つの学習形態、「個人学習」「組織学習」「一斉学習」「整理学習」にわけていた。
 子ども育て、可能性を高めるためには、どの教科でもよいから、教材を徹底的に子どもと追究する必要がある。そのために、一年のうちに二回~三回は、子どもたちの学習訓練ができる質の持った教材をもちいて、時間をかけ、四つの学習形態を追って授業をしていくのである。
 四つの学習形態を使って授業していく場合、もっとも時間をかけるのは「組織学習」である。
 「組織学習」で子どもたちは、自分の疑問とか課題とかをつくり、それに対する自分の考えをノートに書く。それをもとにして、さらに教師や友だちのところへ持っていって確かめ、自分の考えを変えたり拡大したりする。
 教師はその間につぎのような仕事をする。
(1)
一人ひとりや何人かの子どもが学習しているところへ行って、指示したりヒントを与えたりする。
(2)
教師のところへ質問や意見を持ってくる子どもといっしょに考える。
(3)
課題や問題をつくれない子どもには、ヒントを与えたり、課題をつくってやったりする。
(4)
子どもの考えを発展させるために、同じ考えのものとか、反対の考えのものとかを紹介してやり、その子ども同士がいっしょに考えるようにしてやる。
(5)
意味のない問題をやっているときとか、その段階で明らかにしてしまったほうがよい問題とかは、その子どもにはっきり伝え、もしくは全体の前に出して解決してしまう。
(6)
全体の子どもの学習の状況をみて、ここではっきりさせたほうがよいと思うことは、教師が全員にはっきりと説明する。
 これらの作業をしながら教師は、一人ひとりの子どもが、どのような課題にとりくみ、どのような考えを出しているかを頭に入れる。そしてそれらを一つ一つつぶしたり発展させたりしながら、だんだんと学級全体の子どもの学習を整理し、学級全体で一斉に学習する、「一斉学習」での二つか三つの追究課題をつくり出していくわけである。
 子どもたちは、ある教材を徹底的に子どもと追究する学習の訓練を受けることにより、論理が強じんになり、追究力とか創造力とかも強いものとなってくる。教師もまた授業者としての強じんな力を持つようになる。
 したがって他の軽い教材にぶつかったときは、その教材を短い時間でやすやすと突破してしまうことになる。
 そういう体験をしている教師や子どもは、一斉授業とか一問一答式の教師中心の授業の場合でも、一方的・形式的なものになることがない。十分に子どもたちは授業のなかにはいり、主体的に思考を働かせていくようになる。
 授業においては、「組織学習」はそのように重要な意味をもっているもので、教師としてもっとも力をつくさなければならないし、時間も十分にとらなければならない。かりに、十時間予定の授業だとすると、「個人学習」に一時間、「組織学習」に六時間、「一斉学習」に二時間、「整理学習」に一時間とるというような形である。
(斎藤喜博:1911年-1981年、1952年に島小学校校長となり11年間島小教育を実践し、全国から一万人近い人々が参観した。子どもの可能性を引き出す学校づくりを教師集団とともに実践した。昭和を代表する教育実践者)

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