中堅教師が置かれている立場とは何か
教師も若い頃は、経験不足から視野が偏り狭くなっていることが多い。
教師生活も10年を過ぎると、子どもや保護者の声をゆったりと受けとめる余裕がそなわるし、授業や学級経営をうまく運ぶコツも身についてくる。
自分の考えを、個人としてではなく、学年や学校全体の教育実践に広げる面白さを感じられるようになる。
そして、学年や委員会を企画運営することも多くなる。ベテランや若い教師の意見をまとめる役割も担う。
中堅教師は、校長や教頭が頭を悩ます問題や若い教師がぶつかる問題が集まってくる。問題を乗り越えるための協力や行動の期待が中堅教師に寄せられている。
問題が簡単でないから、中堅教師に相談されているのであるから、誠実に自分ができる限りのことをすればよい。そんな仕事を楽しむようになれば中堅教師としては一人前である。
中堅教師には人の意見を聞くという姿勢が求められる。若い教師もベテラン教師も安心して相談できるのは、自分の考えを聞いてくれる人である。話しを聞いたうえで、学年や学校全体をみた判断が中堅教師にできるようになっていなければならない。
中堅教師は、学校の核となる考え方や行動の仕方について、校長や教頭から学ぶ姿勢を忘れてはならない。日常から学校として間違いのない判断ができるよう管理職と意思疎通を図り、適宜判断を仰ぐことが必要である。
学校は校長の教育理念を具現化する組織であり、子どもの成長に生かされるよう、教職員が智恵を出し合い、運営するチームワークが求められる。中堅教師は困難が伴うが、その中間に立ち、教師として生きがいのもてる立場にいるのである。
(長瀬壮一:神戸女子短期大学副学長 教授)
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