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北海道帯広市のいじめ防止啓発資料「あつとほおむ」とは

 いじめは教師が加害者に直接指導すべき問題です。傍観者に知らせ来させることや被害者に避難することも教えなくてはなりません。
 北海道の帯広市は、いじめ防止啓発資料「あつとほおむ」を小・中学校の全学級に分配しています。資料は次のようなものです。
1 加害者向け-「いじめは」
「あ:あそびでもダメ」(みんなが心から楽しめるものがあそびです)
「つ:つらい思いをさせるのはダメ」(悪口や差別は、人の心を傷つけます)
「と:友達がやっていてもダメ」(他にやっている人がいてもダメなものはダメ)
「ほ:暴力はダメ」(これは犯罪。どんな理由があってもいけません)
「お:おしつけはダメ」(嫌がることを無理にさせることも犯罪です)
「む:無視はダメ」(話かけなかったり、返事をしなかったりするのも傷つける行為です)
 この「あつとほおむ」を掲示し、クラスのルールとして機能させれば「あれはいじめではない。遊びだった」という言い逃れを防ぎ「あそびでもダメ」といじめをルール違反として指導することが出来るようになります。
2 被害者向け-「いじめをされたら」
「あ:安心して・・・」(あなたはかけがえのない存在です。みんなであなたを守るから安心して)
「つ:伝える・・・」(何よりもいじめられたことをお家の人や先生方に伝えましょう)
「と:遠ざかる・・・」(自分を守ることを一番に考えて、いじめてくる人から離れましょう)
「ほ:誇りを持つ・・・」(あなたは悪くありません。いじめる方が絶対に悪いのです)
「お:大人に知らせる・・・」(すぐ身近な大人に相談しましょう。必ず助けてくれますよ)
「む:無理をしない・・・」(我慢する必要はありません。つらい気持ちを身近かな人に打ち明けましょう)
3 傍観者向け-「いじめを見かけたら」
「あ:あおらない・・・」(周りではやしたてるのも、いじめているのと同じです)
「つ:つられない」(その場で笑ったりするのも、いじめているのと同じです)
「と:とめる・・・」(まず、いじめられている子を守りましょう)
「ほ:本気になる・・・」(いじめはなくならないと思いこんでいませんか? みんなが本気になれば必ずなくせます)
「お:大人に知らせる・・・」(勇気を出して、お家の人や先生方に知らせましょう)
「む:無関心でいない・・・」(知らないふりをせず、みんなで行動にうつしましょう)
 いじめが起こってから対応するのではなく、あらかじめ、やってはいけないルールとして明示し、被害者に避難を、傍観者には知らせに来ることを教えておきます。
 ルールは掲示しているだけでは機能しません。折にふれ守れているかどうかを振り返ることが大切です。
 いじめの被害者や親などの手記などを読ませ「あつとほうむ」にそって、自分の行動を振り返らせることも効果的です。
 いじめの加害者となるリスクが高いのは共感力の低い者なのです。いじめは加害者を生みださないことが一番の解決方法です。子どもたちに共感力を高めていくことが、いじめ解決の大きな手となるはずです。
 そこで、いじめをなくすための「四つの力」を提案します。
(1)
「共感する力」
 相手のつらさを自分のことのように感じられる。
(2)
「理解する力」
 いじめる側が100%悪い、人には個性や立場の違いがあることを理解する。
(3)
「振り返る力」
 自分のこととしてとらえる、自己肯定感や自尊感情を育み、友人への感謝を育むには振り返ることが必要です。
(4)
「行動する力」
 より良いクラスをつくるために、見て見ぬふりをしない。
 これらの力が子どもたちに育まれることによって
「いじめなんかしたくないし、許さない」
といった学級風土へとつながっていくのだと思います。
(
千葉孝司:1970年北海道生まれ、公立中学校教師。十勝ライフスキル教育研究会代表)

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