教師の指示を子どもが受け入れるようにするには、どのようにすればよいか
子どもが教師の指示を受け入れるようにするには
1 短いことばがいい
今、何をすればいいかが子どもたちに伝わればよい。長くだらだら指示していると緊張・集中を欠き、子どもの思考を拡散させてしまう。
2 授業中の「やめなさい」という指示は、禁止的で命令的な口調になりやすい。
3 指示が成立する条件は
(1)指示が子どもたちの支持・承認(合意)を得ていること。
なぜ、ベルがなったら席につかなければならないか、私語してはだめかについて子どもたちに理解を求め、充分な指導をしておくことである。
子どもの行動原理に理解を示しながら、教師の意図を子どもたちに説得し、教師と子ども双方の合意のうえに、指示されなくてはならない。
教師の指示がとおらない子どもに対して、まわりの子どもたちが、教師の指示に従うことを要求するようにしたいから、事前に子どもたちに意図を説明するのである。
(2)指導は子どもたちの集団の力なしには成立しません
指導が成立するには、指導される子どもたちのなかに、「指示を受け入れよう」「よし、やろう」という強い勢力(集団力)を必要とします。
指示を受け入れようという強い勢力(集団力)があって、受け入れない子どもに対して「受け入れるよう」要求することが必要です。
4 共感のうえに指示を出す
子どもたちと授業の規律の確立について合意形成を進めていくと、子どもたちのものの考え方が理解できる。理解できれば、指示一つ出すにしても、子どもたちに共感を示しながら発することができる。
5 豊かな表現力で指示する
(1)教師自身、豊かな表現力を身につけ、全身的に指示を出すようにしたい。
(2)教師のことばに力がないと、微妙なニュハンスが表現できない。例えば、「やめなさい」ということばを何通りにも言うことができるように。
(3)手をポンと打って、注目させ、話し合いをやめさせる。
(4)ゼスチャーで大きな身振りや、一つはといいながら指を一本立てて指示をだす。
(5)表情を豊かにする。表情によって、指示を出す教師の心情を表現するようにしたい。
例えば、禁止であっても、目が笑っている、顔は微笑している。ことばは柔らかいが、目が怒っているなど。
6 指示がとおらないのは
多くは、その指示についての教師と子どもたちの合意形成のとりくみがなく、教師の一方的な威圧的な指示で、子どもたちの感情的反発をまねいている例が多い。無表情で硬直した姿態と、うるおいのない声で表現する例も多い。
7 指示のあとの評価
指示に子どもたちがしたがったときは、ほめるようにしたい。教師の指示はいいっぱなしが多い。
(家本芳郎:1930-2006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)
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