子どもを指導する方法は多様にある、効果がなかったら子どもにあわせて別の方法に切り替える
「指導してください」といわれると「注意」してくださいということのようだ。しかし、近年、ひとことふたことの注意では、子どもがいうことをきかなくなった。
そのとき、注意以外の方法で指導すればいいのだが、ほかの方法を知らないから、「くりかえし注意する」「大声で注意する」「脅しをつけ加えて注意する」「罰を加える」・・・・・。
だが、それでも、子どもに開き直られたら、注意による指導はゆきづまってしまう。だから、二回くらい注意して、効果がなかったら、別の方法に切り替えて指導しなくてはならない。
ところが、これまでは明治以来、教師は先生様だったから、注意すれば、みんないうことをきいてくれた。だから、注意以外の方法で指導する思想や技術が発達せず、今日、なお、その欠陥を引きずっているというわけだ。
指導はきわめて多様である。あらゆることが指導として成立する。例えば、
「説得する」「命令する」「指示する」「脅かす」「援助する」「演示する」「挑発する」「合意する」「暗示する」「愛する」「自傷する」「忠告する」「反論する」「育成する」「泣く」
これらは、すべて指導の方法で、実際には、そのいくつかを組み合わせ、変奏させて、指導を成立させている。
たとえば中学生に「これ、できるかな。高校生の曲だぞ。これがやれたらたいしたもんだが、まあ、無理だろうな」そういうと「できるさ」「無理じゃないよ、やろうよ」と意欲を示す。挑発は、子どものもっている力を奥底から引き出すときや、困難な課題への挑みかかりを情動的につくりだすときに用いられる。
子どもの状況にあわせて、もっとも有効な指導をするように心がけなくてはならない。そのためには、指導の複雑多様な世界を知ることである。
(家本芳郎:1930-2006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)
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