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今の親は、他人のやり方にはいっさい干渉しない一方で、自分も他人の意見を採り入れない

 1960年代以降に生まれた親は、毎日密接な関わりがあった大人は母親一人だけという「核家族・夫婦分業・母子密着」の中で育ってきたという人が、一般的になっているのです。
 その母親も、近所づきあいも希薄になっている状況ですから、ほかの家庭の日常生活にふれて、自分とは違った家事の仕方や子育ての仕方などを学ぶ機会がなくなっています。
 そうすると、自分のやり方を人のやり方に比べて相対化したり、客観化したりすることができなくなって、知らないうちに独善的な世界におちいってしまう、ということも起こりかねないのです。
 そのように自分の母親のやり方だけを見て育った人たちは、それが唯一絶対のものになってしまい、それ以外のやり方はなかなか許容できなくなっているようです。
 いまの核家族のような身近な人は母親一人という状況では、母子カプセルに近い環境のなかで育ってきた人々が多くなっています。
 そのことが「これしかない」と思いこんでほかの選択肢を持たないお母さんとか、他者否定的で他人の意見を聞こうとはしないお母さんが増えることにつながっているのではないでしょうか。
 すでに親の世代にあらわれたそのような変化が、子どもたちにも影響しないわけがないのです。
 そして、1960年代以降に生まれた人々の特徴としては、内心どう思っているかはともかくとして、それぞれのやり方はたがいに尊重して、相手のことにはいっさい口をさしはさまない、ということがあるようです。
 そうやって他人のやり方にはいっさい干渉しない一方で、自分も他人の意見を採り入れないとしたら、結局は、それぞれがまったくバラバラな子育てをすることになりかねません。
(三沢直子:1951年生まれ、臨床心理士として心理療法など子育て中のお母さんをサポート。元明治大学文学部心理社会学科教授。NPO法人コミュニティ・カウンセリング・センターなどで、子どもや家族の問題に関わっている職員の研修・コンサルテーションや、地域のネットワーク作りに取り組む一方、親教育支援プログラムの普及に努めている)


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