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人や自然と触れ合わず、生活のなかで学ばない子どもは社会に出たら生きていけないだろう

 私は、二十数年間、子どもたちを見てまいりましたが、近年、とくに学力の低下が目に余るようになっています。
 小学校の低学年までは、教えこむ技術だけで子どもは伸びているかのように見えます。ところが、ちゃんとした生活の基盤ができていないと、その先で壁に突き当たります。
 「考える力」は学校で教えるべきものではありません。生活のなかで学びとるものです。その生活とは毎日の自然環境に即したおこない、つまり生活習慣です。
 生活習慣の乱れは必ず学力に響きます。なぜなら、どんな科目の勉強でも、幅広い経験がなければ理解できないからです。
 いろいろな経験をする機会を奪われた子どもたちは、ひたすら机に向かって教科書に書かれた知識を詰め込んでいくロボットです。人や自然と触れ合ったりすることではなく、目の前のペーパーテストをこなしていくことが「生きる」ことになっているのです。
 あいさつもできない無表情な子どもに人間的な魅力がないのは当然です。人に紹介する時も「この子はとても勉強ができるのですよ」としか言えなくなるのです。たしかに成績はよいかもしれませんが、ぼうっと突っ立っているだけの子どもは、他人の眼にどんなふうに映るでしょうか。
「小学生でもきちんとあいさつができるのに、どんなに勉強ができてもこれでは」
「いずれ社会に出たら、生きていけないだろう」
 客観的に見れば、その子に問題があるのは一目瞭然です。
 無理な学習は決してよい結果を生みません。その年齢にふさわしく育てられた子どもからは、何も言わなくてもそこに立っているだけで、自然な子どもらしさが感じられます。本来の教育とはそういうものなのです。
(大原敬子:幼児教育家。「大原敬子の遊育会」代表。ニッポン放送『テレフォン人生相談』のアドバイザーも勤める)

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