じょうずに学級経営できるために担任が身につけるべきものは何か
担任として学級づくりに、これだけは不可欠であると私が考える資質は「リーダーシップ」と「カウンセリングマインド」です。
教師の気合いと情熱だけでうまくいく時代は、もう終わってしまいました。
(1) リーダーシップ
学級目標を担任と子どもたちが共有して、ぐいぐい引っ張ってくれそうな担任に「頼りがい」を感じて「この先生についていきたい」という気持ちが生まれてきます。集団そのものに一体感がうまれます。
また、「ルール」を育むことも「安心できる学級」をつくるためには不可欠です。たとえば「ひとを傷つける言葉(ウザイ、キモイ、死ねなど)は言わない」、「一人の子が話しているときは、他の子は最後まで黙って聞く」といった基本的なルールが守られて初めて、子どもは安心して自分の意見が言える。
大切なのは、子どもたちが肯定的な気持ちになれるルールづくりの工夫です。例えば、「授業が始まる前に教科書を出しておく」というルールが守られていないとします。
そこで、教師が「いーち、にー、さーん・・・・」とゆっくり数を数えます。
「・・・・はーち。今日は全員が教科書を出すのに八つかかりましたね。明日はもっとはやく出せるように、みんな協力してガンバローね」と、声をかけます。
そして、次の日に七つで全員出せたとしたら「みんながんばったね!」とやっていく。こうすれば、子どもたちは「自分はがんばった」という達成感や「ルールを守ると気持ちがいい」、「みんなで力を合わせると楽しい」ことなどを感じとることができます。
(2)カウンセリングマインド
学級の雰囲気が固くならないよう「この先生といると、気持ちが落ち着く」雰囲気、すなわち「カウンセリングマインド」が不可欠です。
カウンセリングには,さまざまな心の問題や人間関係,集団や組織の問題に対処するために蓄積されてきた,たくさんの知識や技能,具体的な方法論があります。
昨今,教育現場で生じているさまざまな問題は,その大半が何らかの人間関係やそれに起因する心理的な側面にかかわったものだからです。
この時代,教師は“人間関係のプロ”でなくてはならない。人間関係をうまく処理できる技能なくしては,プロフェッショナルな教師は務まらない。
カウンセリングの技を学ぶと,学級がうまく育っていきます。そして何より,カウンセリングを学んだ教師は,幸福感と生きがい感,仕事のやりがい感が増して,心がポカポカと暖かくなります。そしてそのポカポカ感がクラスの子どもたちに伝わって,子どもたちの心をもポカポカと暖かくしていくのです。
ルール一辺倒の教師は、子どもを抑え込み、ストレスをため込ませ、キレる子どもを生んでしまいます。逆に、子どもとふれあえるけれども、ルールを守らすることができないと、ガヤガヤと落ち着きのない学級になってしまいます。
「リーダーシップ」「カウンセリングマインド」「ルール」「ふれあい」は、学級づくりの両輪なのです。
(諸富祥彦:1963年生まれ、明治大学教授,臨床心理学、カウンセリング心理学、現場教師の作戦参謀としてアドバイスを教師に与えている)
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