「何かを学んだらすぐに他の活動に活かす」波及学習は「できた」ところがスタート
波及学習は「できた」と思ったところからスタートします。
子どもたちがあることを学ぶとしましょう。ある程度までいくと、「できた」と満足してしまいます。かなり低いレベルで「これでよし」と思ってしまうのです。
子どもたちのいう「できた」は、「できたつもり」になっている場合が多いのです。教師も同様です。
多くの場合、「できた」は、本当にできたのではなく「できたつもり」になっています。だから、ちょっとやらないと忘れたり、元に戻ったりしてしまうのです。
波及学習は、「できた」「これでよし」と思ったところからスタートします。
たとえば、100マス計算で2分切れるようになったら、次のことを意識させます。
(1) 正確にできたか。
(2) ていねいにできたか。
(3) 迅速にできたか(スピード)。
(4) 工夫したか、コツを発見したか。
そして、次はどれを意識して練習するかを決めます。そして意識して練習します。
100マス計算に取り組む過程で、計算力はもちろんのこと、上にあげた正確さ、ていねいさ、素早さ、工夫する力に加え、集中力が身につきます。また、練習方法も知ることができます。
これらの力を意識して、波及させるのです。100マス計算のたし算ができるようになったら、次はかけ算に取り組みます。上のことを意識して練習すると、3分の1位の時間で同じレベルに到達できます。
(杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都の小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている)
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