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戦後の教育実践のあゆみ- 学力と自治の保証を求めて-

(1)高度経済成長と学歴社会の到来
 1950年代後半から本格化する高度経済成長政策は、「学歴や学力こそが豊かさを保証するもの」「子どもは少なく産んで大切に育てる」との意識を醸成することになった。
 この「近代家族」特有の意識の大衆化が、学歴社会、大衆教育社会を樹立した。
 教育改革によって単線型学校体系が確立され、大学進学率が上昇し、急激な学歴社会の到来は、学歴獲得競争をともなって子どもたちをまきこんでいった。
(2)
教育の現代化と広がる格差
 1958年の学習指導要領は告示となり、この改訂から経験主義から系統主義へと転換した。そして教育現場への統制力を強めた。また、道徳的な心情を養成するために道徳が特設された。
 1968年の学習指導要領は、現代科学の内容と方法でもって教育内容を編成した「現代化」を打ち出した。子どもたちにとって理解しにくい内容であっても学習可能であるという主張であったが、やがて子どもの格差がひろがり、落ちこぼれが問題となった。
 高度経済成長政策を推し進めるために、経済界から国際的な競争下で創造的な知的能力を育成することが要請された。この能力主義は、高校教育に対して多様化政策として、学校別・学科別・コース別の教育課程が編成され格差を顕在化させていった。
(3)
学力と自治の保障に奮闘する教師たち
 系統主義の立場から戦後初期の新教育に対して批判を行うなかで、民間教育研究団体が結成されることになる。
その主なものは、
「歴史教育者協議会」(1949年)、
「数学教育協議会」(量の体系・水道方式:1951年)、
「科学教育研究協議会」(1954年)、
「仮説実験授業」(問題→予想→討論→実験:1954年)
などであった。その主張は、教育課程の編成において「科学と教育の結合」をはかることである。
 他方、この時期に大西忠治たちによって、小西健二郎の「学級革命」に代表される生活綴り方にもとづく「仲間づくり」論が批判され、「班・核・討議づくり」にもとづく、「学級集団づくり」論が提唱される。
 これは、特設「道徳」の心情主義への批判を前提として、自治能力の形成を集団づくりという実践を行おうとしたもので、「全国生活指導研究協議会」(1959年)を主導する理論と実践となった。
 これら民間教育研究団体の成果は、手弁当の会員たちによる地道な活動によって発展・普及し、現代日本の「教育実践」に多くの示唆を与えている。
 教育の現代化で授業を理解できない子どもが増加し、1971年に落ちこぼれ問題がマスコミを通じて社会問題化した。神戸市立平野小学校で教鞭をとっていた岸本裕史は、落ちこぼれの子どもを救おうと百マス計算を始め、学力の定着(技能の習熟)を楽しく行える方法の開発と、学力形成を支える子どもたちの生活(見えない学力)の点検を同時に追究するようになる。
(
田中耕治:1952年生まれ、京都大学教授、専門は教育方法学(学力論・授業論・評価論)

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