策をろうするようなことでは、真の経営者とはいえない
経営者というものは、つねにそのときの真実を訴えなければいけないと思います。
仮にきのう言ったことと言うことが変わっても、真実を語れば説得力があります。ですから、経営者は、つねに真実というものに立たなければいけない。策をろうするようなことでは、真の経営者とはいえないように思います。
私の場合、いろいろのことをやってきましたが、そのとき、そのときの瞬間というものを、真実に立って語ってきたということは明言できると思います。そのためでしょうか、大体においてあまり抵抗なしでこられました。
労働組合との話でも、いざというときにはわかってもらえました。それは、つねに自分が本当のことを語り、真実に基づいて仕事をするよう心がけてきましたから、それをみなが知っていてくれたのだと思います。
経営というものは、手品でもなんでもない。ごまかしでなく、一つ一つキチンキチンと正しくやり、やがてそれで信頼してもらうということに尽きると思います。
そういうところに経営者としての一つのしっかりとした信念を持たなければ、経営者は弱いものだと思います。
経営者というものは、知識は最高でなくてもかまわない。知恵も技術も最高でなくてかまわない。けれども、真実に基づいて経営をしなければならないという使命感だけは誰にも負けないものを持っていなければいけない。それでみなが働いてくれるのだと思います。
知識で経営しようとか、技術で経営しようとか、そういうことでは真の経営者にはなれない。
いまふりかえってみて、真実に基づいて経営をおこなうことが私の経営者としての一つの信念であったように思います。
(松下幸之助:1894~1989年、パナソニック創業者、経営の神様と呼ばれ、日本を代表する経営者)
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