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教師の思いが子どもに伝わらない原因はなにか

 教師の思いが子どもに伝わらないのは、教師の思いと、子どもたちの受けとり方がズレてしまっているのです。
 子どもたちは、受け取った印象に素直に反応しているのです。教師の思いが子どもに伝わらない原因はつぎの五つが考えられます。
(1)
教師の態度や雰囲気が別のメッセージを発している
 子どもたちは、相手の感情を敏感にとらえます。
 たとえば、教師が子どもに温かい言葉がけをしたときに、心配しているようなしぐさがともなっていないと子どもたちは、そのしぐさのほうに反応します。
 ですから、心にも思っていないことを口にしても、教師のホンネは、子どもたちに自然と察知されてしまいます。
(2)
子どもたちに話している内容に教師の人生哲学がない
 たとえば、子どもを指導するとき、「規則だからいけないのだ」と、建て前や社会の常識だからと、説明する教師を子どもたちは嫌います。
 子どもたちが聞きたいのは、教師が自分の人生経験に根ざした生き方や、自分の考えや思いを、率直に、ホンネで話すことです。
(3)
日常の教師の行動と、子どもたちに語っている話の内容に開きがある
 たとえば「時間を守ろうと言っている教師が、たびたび時間に遅れてくる」といったように、日常の態度や行動と、子どもたちに話している内容に開きがある場合、教師に対する信頼感は低下します。
 そのような教師がどんなに素晴らしい話をしても、子どもたちは聞く耳を持たず、伝わりません。
(4)
教師は自分の対応を自己チェックすることが必要
 教師の子どもへのかかわり方や対応が、子どもたちからどのように受け取られているのかを知ることが重要です。どのように受け取られているのかを理解することで、教師の修正すべき方向が見えてくるのです。
 教師が子どもとの人間関係を良好なものにしたいと考えたら、まず教師が変わることです。教師の変化に対して、子どもの教師に対する態度や行動に変化が起こるのです。
(5)
子どもたちからどのように受け取られているのかを知る方法を複数持っていること
 たとえば、教師の対応の仕方、授業の進め方などについて、子どもたちから感想や要望を書いてもらうのもいいでしょう。無記名で書いてもらうと、子どもたちのホンネがわかると思います。
 学年末であれば、記名して書いてもらえば、教師とマッチしていなかった子どもたちの感想や要望を一覧にしてみると、自分の無意識の対応を発見することができます。
 たとえば、成績の悪い子どもたちとは、うまくいっていないようだ。成績だけで子ども判断しているようなことはなかったか、と反省して修正することができます。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学教育学部教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)

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