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問題行動をする生徒の指導は教師集団で指導する体制が必要である

 問題行動をする生徒たちに対して教師が一人で対応することはできない。
「どう叱るか」で解決できるような問題はほとんどなく、つぎのような集団指導体制が必要である。
(1)
学校全体の指導体制の中で動く
 担任などの個人的な考えや方針で生徒を指導すると、学校全体がバラバラになる。仲間と集団で行動しているので、複数の教師が分担して仲間一人ひとりと対応できる態勢をつくらねばならない。
 生徒指導部の方針に基づいて学校全体で指導を積み上げていくようにする。
(2)
問題行動の初期のメッセージをとらえ指導する
 どんな問題行動であっても、その初期にはメッセージがある。問題行動の初期のうちにこそ、メッセージを見逃さずにとらえ指導しなければならない。
 くり返し問題行動をかさねているうちに生徒も引くに引けなくなり、問題行動そのものに魅力を感じ、集団の中で競い合いにまで発展してしまうおそれがある。
(3)
家庭の親子関係のトラブルが根にあるなどすぐに解決することは難しい
 メッセージの根がわかったとしても、すぐには解決できないことがほとんどで、家庭がおもしろくないなど親子関係のトラブルであることが多い。
(4)
指導の方法
 問題に取り組み指導するには、まず被害者と加害者の事実の確認をする。反省を引き出すこと、教師側の説諭、親への連絡、謝罪、弁償、今後の約束などと、いくつもの段階を伴う。
 仲間と集団で行動していることが多いので、複数の教師が分担して仲間一人ひとりと対応できる態勢をつくらねばならない。
 子どもを説諭し反省させる指導では、例えば、子どもに問題を指摘する役割の教師、子どもに味方し弁護する役割の教師、そして二つの役割を仲裁する役割の教師、と三つの役割に分かれ指導するといった方法が考えられる。それぞれの役割は子どもとの関係によって決めるようにする。
(5)
生徒集団に支持される指導方針を
 起きたことを叱るだけでなく、起きないようにする、それ以上広がらないようにするという力量を教師が身につけることがもっと大切なことだ。
 生徒集団は「まじめ」「中間」「逸脱」の3つに分けられる。最も多いのが、周囲の状況次第では、どちらの集団の側にでも味方するという「中間的集団」である。たとえ、公然と味方をしなくても、心の中では応援するのが「中間的集団」の特徴なのだ。
 問題行動が起きないように予防するということは「中間的集団」をまじめな集団の側に組織するということだ。この2つの集団で全体の圧倒的多数をしめると、学校の雰囲気を左右するようになる。教師集団もこの2つの集団に支持されなくては、学校の荒廃を克服することは不可能だ。この2つの集団が支持する方針が、最良の生徒指導方針と考えることができる。
(6)
「逸脱集団」にあいまいな態度をとらない
 「逸脱集団」のメッセージと取り組みながらも、彼らの起こした問題行動にあいまいな態度をとってはいけない。これ以上は、どうあっても許すことはできないという高くて厚い壁がなければ、際限なく学校の荒廃が進み、無法化してしまうだろう。
(吉田 順:1950年生まれ 34年間横浜市立小・中学校教師 「生徒指導」ネットワーク主宰)

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