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理科(小学校):「チョウの一生」、学び合いを創造することは教師にとって最も大切な指導力である

 授業で学びと学び合いを創造していくことは教師にとって最も大切な指導力である。
 理科で学ぶ「チョウの一生」は、受験勉強のためだけであれば、教科書を使って、モンシロチョウの卵から成虫になるまでの変化、つまりチョウが完全変態であることを教え、昆虫の体のつくりは、頭・胸・腹と足六本と教えればことたりる。
 しかしそれは、教育ではない。何も育てていない。昆虫という生物体の基礎を獲得させ、それを生きて働く力にするためには、まず、教師と子どもがモンシロチョウを集めることが必要になる。あるいは、キャベツ畑に出かけ、卵を採取してこなくてはならない。それらは、共に学び合おうという集団でなければやりとげることはできない。
 次に、可能なかぎり子どもたちに、小さい卵から幼虫が誕生して羽化するまでのチョウを飼育させる。大量のキャベツを食べながら脱皮を繰り返してさなぎになる様子や、青い幼虫がさなぎの中でチョウに変わり、羽化する場面など、チョウが見せる変化をすべて観察できるように育てさせなければならない。
 教師は、子どもとともに観察し、驚きや感動をともに味わい、疑問を調べていくことになる。子どもたちからは「なぜ脱皮するのか」「なぜキャベツしか食べないのか」「なぜ幼虫からチョウへと姿を変えることができるのか」・・・・・といった疑問が出てくる。
 チョウと人間がさまざまにつながっていることを考える力は、こうした疑問をともに出し合ったうえで得られるものだ。チョウの青虫時代はキャベツを食べ、人間にとっては害虫である。
 しかし、成虫になった蝶は植物の受粉を助け、動物としての人間のために植物の繁殖を助ける。
同じ仲間であるガは、嫌われているが、その一部は、一個の繭から千メートル近い糸を生み出し、絹織物を誕生させ、世界の歴史までをも変えた。
 「生きて働く力」をつけるために必要となるのは、書物を探したり、養蚕農家などに足を運んだり、この目で確かめることを通した子ども集団の学び合いである。子どもの疑問を丁寧に生かそうとすればするほど、指導のための学習が必要になる。
 逆にまた教師の学びの蓄積があってこそ、子どもに疑問を生み出させることができる。かなり広くて深い学習を必要とするし、子どもとともにその学びをつくり上げるのは、大変な苦労を必要とするが、喜び、感動も間違いなく大きい。
(
金森俊朗:1946年生れ、元小学校教師、北陸学院大学教授。「仲間とつながりハッピーになる」教育や人と自然に直に触れ合う命の授業を行う。NHKで日本賞グランプリ受賞)

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