教師が親から信頼され、理解と協力を得るにはどのようにすればよいか
親の理解と協力がなければ教育指導の成果はあがらない。親が教師を信頼してこそ、子どもの成長が望めるのである。
親と教師がふれ合うための技術は姑息なことである。子どもへの教育愛が背景にある指導こそ、親の信頼を生むのである。そのためには、次のことに配慮すべきである。
(1)親にとって子どもはかけがえのない存在であることを十分に理解して接する。
(2)教師はその子の良さを強調して親に伝えるようにする。
そのためには、日頃から、その子の学習態度、意欲、クラスへの適応、性格などきめ細かい観察を怠らない。
(3)親は教師の表面的な美辞麗句よりも、自分の子への誠意ある教育愛を望んでいることを理解して発言する。
(4)親が自分の子の欠点や弱点を話しても、教師がそれを確認するような言動は慎む。
(5)親が悩みを訴えてきたとき、事務的なことであれば指示してもよいが、親子の人間関係にかかわることについては、断定的な言い方は誤解をまねくので注意したい。
(6)子どもの問題点を指摘するときは、事実の説明とともに、解決のための具体的な方法を示し、全力をつくすことを親に理解してもらうようにする。
(7)子どもにけがなどの事故が学校であったときには、謝罪し、その程度と現状をまず報告する。原因や背景などについては、親の気持ちが落ち着いた段階で話し、責任の所在などについてくどくどと言わない。
(8) 教師は常識ある社会人として誠心誠意、教育にあたらなければならない。
親が教師を信頼するかどうかは、子どもからの情報である。教師の教え方、話し方、子どもの接し方、勤務ぶり、教師同士の関係、服装などを子どもから聞き、教師に対してイメージをつくっている。
日頃からの教師としての生活を厳正にしておくことが、親と教師の相互理解に通ずるからである。
(染田屋謙相:1916年生まれ、公立小学校教師、指導主事、校長、指導室長、東京都板橋区教育長を歴任した)
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