子どもや親は日々変わっている、だから教師も日々研鑽し変わっていく必要がある、向上心に裏づけられた経験でないと意味がない
教師として長年やってきた人というのは、多くはプライドが高い。大学を出てすぐ教師になり、先生、先生と子どもからも親からも呼ばれる。本も読まず、研究発表しなくても、である。そんな生活を長い間続けていると、自分は本当に「先生」で、偉いのだと思ってしまうようだ。
「このやり方で長年やってきた。今まで何も問題も起きなかった。子どもたちは言うことをきいてくれた。今、こんなふうになったのは、私の指導力が不足しているのではない。子どもが悪くなったのだ。親の考え方も変化しているからだ」と、学級崩壊のクラスを抱かえている担任が話したとマスコミが伝えていた。
その担任の同僚が
「その教え方では、子どもが授業中に立ち歩くのは無理もない。ここをこう変えてみたらどうか」と、アドバイスしても
「私は今までずっとこのやり方できた。このやり方は私の一番大切にしているやり方なので、変えるつもりはない」と、反論の言葉が返ってきたそうである。
さらに「この状態を変えるため、外部の研修会に参加して勉強してみてはどうか」とすすめると、
「私は今でさえ大変な子どもたちを抱かえていて忙しいのに、外部の研修会に行く暇なんかない」という答えが返ってきたと、その報道は伝えていた。
人のアドバイスが耳に入らないのである。
今や、昨日のやり方が今日も通用する時代ではない。世の中の多くのことが昨日のやり方で、今日はギブアップしているのである。銀行も、大企業も、行政も、・・・・・である。まさに変化の時代なのである。
教師は子どもと接する職業である。子どもは日々変わっている。親も日々変わっている。だから、教師も日々研鑽し、変わっていく必要がある。
どんな職業でも経験はもちろん大切である。しかし、その経験は向上心に裏付けられた経験でなければ意味がない。
ものをつくる仕事にしても、ものを売る仕事にしても、昨日よりもっと良いものをつくろうとか、もっとたくさん売ろうとか考えて、他の人のやり方を見たり、研究したりして努力するからこそ、十年経験した人と五年経験した人では違いが出る。
人のアドバイスに耳を傾けないような経験なら、ない方が良い。
(飛田貞子:東京都の公立小学校教諭を経て小学校校長)
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