連絡帳で子どもの怪我の報告を済ませ、親の怒りをかい大失敗した
保護者との関係がうまくいくか、いかないかの分かれ目は、コミュニケーションのちょっとした違いである。ある新採の教師の例をあげてみると、
私は、ほとんどが年上という保護者に、どうしてもうまく言えないといった不安を抱かえながら保護者に対応していました。
私が新任で担任したクラスに、自分の思いを伝えるのが苦手ですぐたたいてしまう子がいました。秋をすぎるころから一日に10人ぐらい友だちをたたいてまわり、怪我も負わせるようになっていました。傷ついた子どもの保護者に連絡と謝罪に追われるばかりでした。
疲弊していた私は、怪我したことを連絡帳に書き、保護者対応の苦しみを削減するようになっていました。ある日、一人の子どもの連絡帳に「昨日、怪我を負わされ帰ってきました。連絡帳を読んだだけでは様子がよくわかりません。直接なにも聞かされないのはおかしいと思います。本日夕刻に家に戻りますので、お話を聞かせてください」と書いていました。私は、全身から血の気が引くような思いがしました。その日の夕刻に家庭訪問して、親に説明と謝罪をしました。
普通ならこれだけでは終わりません。私は電話をかける時間を惜しんだばかりに保護者や子どもの信頼を大きく失ったのです。
新採のときの大きな失敗で、私は子どもの指導や保護者への伝え方が慎重になり、言葉も選ぶようになりました。保護者に「伝えるか、伝えないか」迷ったら、必ず伝える方を、また「書いて伝えるか、直接話して伝えるか」迷ったら必ず直接話す方を選択するようになりました。
このような例のように、大きい小さいは別にして、学級では毎日のように子ども同士のトラブルが発生します。保護者から大切な子どもを預かる担任にとっては、保護者への連絡は不可欠です。その際、どんなタイミングで、どんな手段で、どんな言葉で、伝えるかによって、保護者の信頼度は大きく変わり、学級経営の成否にも関わってきます。
家庭訪問のように、顔を見ながら心のやり取りをするような、丁寧なコミュニケーションを積極的に取ろうと努力する担任の姿勢から、保護者の信頼が生まれてくるのではないでしょうか。
(砂田信夫:京都市立小学校校長、京都市教育委員会指導主事・指導部長、京都市総合教育センタ-所長、佛教大学 教授.)
連絡帳で子どもの怪我の報告を済ませ、親の怒りをかい大失敗した
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