保護者からの苦情や子どもに問題が起きたとき、若い教師はどのように対応すればよいか
今の日本の教師は完全に疲れきっています。以前のように教師が「健康で明るく子どもたちと向き合える状況」をつくっていきたいと願っています。そうでなければ、日本の将来は暗いものになるでしょう。日本の教師が元気を取り戻すことこそが、日本の子どもを元気にすることにつながると思っています。そのためには
(1)親からの苦情は「親が困られていること」と理解する
苦情は教師へのお願いです。子どもを大切に育てようとする思いは、教師も親も同じです。目先の事態に慌てないで、親とじっくり向き合いましょう。
(2)徹底して親の話を聴く。教師の意見を差し挟まない
誰でも、聴いてもらうと安心感が湧いてきます。親の言い分に自分を置き換えると見えてくるものがあります。
(3)親を尊重する気持ちで対処する。上目線で話をしない
ていねいに対応すると、相手の感情を激してしまうことはありません。上から物を言う言い方は絶対に避ける。
(4)管理職に報告する
教師は問題を一人で抱かえこまない。事実のみを正確に報告する。自分の対応にまずいところがあったときも、正直に報告する。隠しだてをすると必ず後になって大きく火を噴く結果になる。
(5)トラブルには誠意を持って家庭訪問する
電話で対応するよりも、足を運ぶことです。直接、親にお会いして話すことに勝るものはありません。親と会話し、最終的に教師の主張を理解してもらう作業です。自分を高める機会です。
(6)このような事態を起こしてしまったことへの謝罪の気持ちを表明する
「因果関係が明かでないときに、謝罪などしてはだめだ」というご意見もありますが、「子どもや親につらい思いをさせてしまったこと」への表明はすべきだと思います。その表明があるかないかで、状況はぐっと違ったものになってきます。親が「法的な謝罪をしたではないか」と主張されたら、それこそ弁護士の出番です。
(7)親が「訴えてやる」と力の対決をほのめかせても、落ち着いて対処する
「お母さんが辛いお気持ちになられたこと、お察しします」という、ちょっとしたことばかけが大切です。そのひと言で状況は大きく変わります。それが人間社会なのです。
(8)最善の解決方法は、親と理解し合い、仲よくなることです
理解し合うことの大切さは親との関係だけではありません。一番に子どもと、どう理解し合える関係になるかです。
子どもから信頼の高い教師は、親からも絶大な信頼を得ているものです。
(西林幸三郎:大阪市公立小学校教師、大阪市教育委員会教育相談室長、校長を経て、大阪芸術大学初等芸術教育学科教授。児童虐待防止協会執行理事、大津市いじめ事件に関する第三者調査委員会委員、「NPO法人こころの子育てインターねっと関西」運営委員、臨床心理士)
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