学級崩壊と関係のある、子どもの精神障害とはなにか
学級崩壊を経験した教師は、解決しようとしても、どうしようもない指導困難な子どもの存在に気づかれたことでしょう。精神障害のある子どもは自分の言動を悪いと思っていない。その子どもが核となり学級が荒れ、他の子どもが同調し、学級崩壊するパターンのなんと多いことか。米国では治療すべき精神障害として治療プログラムが研究され実行されているのです。
学級崩壊と関係のある精神障害は、例外もありますが次の通りです。
(1) 注意欠陥・多動性障害(ADHD)
注意欠陥・多動性障害(ADHD)は小学校の低学年でよく見られ(有病率は3~5%)、じっとしていられない子どもたちです。この子どもの75%は攻撃的で反抗的な問題行動を示します。教師が注意してもすぐほかのことをやりだし、指示に従えない。席をはなれて歩き出す。こんな子どもがいれば教師は大変な労力を強いられます。ほかの子どもが「あの子だけ・・・・・」と言って、学級が騒然となりだせば、学級崩壊へまっしぐらです。
米国では、ADHDの治療法はよく知られていて薬物療法と行動療法の併用です。日本ではこの治療薬を処方してくれる医師は少ない。学級崩壊の一因は、このADHDの子どもに治療薬を処方されていないことにあります。
(2) 反抗挑戦性障害
反抗挑戦性障害は小学校高学年に関係した精神障害(有病率は2~16%)です。
拒絶的、敵対的、挑戦的な言動を取る子どものことです。すぐにいらだち、両親、教師、仲間に向け、攻撃的な言葉で故意にいらいらさせ衝突する。自分では反抗的、挑戦的であるとは思っていない。不当な環境のためだとして正当化し、他人のせいにしがちである。
少なくとも一方の親が精神障害(気分・反抗挑戦性・行為・ADHD等)である家庭や夫婦の不和がある家庭で多くみられるようである。
病因が家庭環境にあり、両親が子どもの扱い方を変えることが必要とされています。そのため、両親を訓練する治療が欠かせません。行動療法は適切な行動を賞賛し、望ましくない行動を無視することに焦点を当てる。子どもにはカウンセリングによる精神療法を行うことが基本です。
この反抗挑戦性障害児による学級の混乱をすべて教師の責任にするのはあまりに不条理といわなければなりません。
(3)行為障害
行為障害は中学校・高校の学級崩壊に関係した精神障害です。
行為障害は、他者への思いやりがほとんどなく、他人を傷つけたり、嫌がったりすることを平気で行えるのが特徴です。しかも自分の行為を悪かったとは思わず正当化するから始末が悪いのです。この軽症型は米国で男子6~16%、女子はその半数です。日本の学級でもよく見受けられるはずです。
教師の指導困難は明らかです。とても教師の手におえる生徒ではありません。米国では学校内に金属探知機、監視カメラ、警察の常駐なども実施されています。日本も犯罪行為であれば警察の手にまかせるほうが良い時代であると考えるべきだと思います。
行為障害の原因がほとんど家族、生育環境などにあるとされます。治療は家庭に深く関係するため、家庭や集団を用いた治療、行動療法、薬物療法も必要になります。粗暴行為のある行為障害児に薬剤の服用を本人、家族が同意するかどうかは疑問ですが、専門機関に依頼するほうがいいでしょう。
学級崩壊を解決するためには、このような精神障害児が学級にいれば、その子どもの問題を解決しなければ、学級崩壊の解決にはいたりにくいのです。
マスコミは子どもや子どもの家庭に問題があっても、教師に問題があるのではないかと、教師に原因を見つけようとしがちです。指導するのにどれだけの労力が必要でムリがあるか、教師の限界をどこまで考慮しているか疑問です。
(福永宣道:1943年大阪市生まれ、大阪府公立高校教師(10年間)、生徒の暴力により退職、40歳で医学部入学し、近畿地方の診療所長として僻地診療(7年間)の後、東京で勤務医)
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