いじめ被害者の保護者や加害者の保護者に、どのように対応すればよいか
いじめ被害者や加害者の保護者への対応について管野 純はつぎのように述べています。
1 いじめ被害者の保護者への対応
(1) 迅速に対応し、保護者の不安を軽くする
子どもが保護者にいじめの相談をしている場合は、早急に保護者と連絡をとり、家庭訪問して保護者の不安に対処します。保護者はつらい気持ちでいるため、担任の連絡が後手に回ると、保護者はいろんなところに訴え始め、問題は学校内部に留まらず複雑化していく可能性があります。
(2) 保護者の訴えによく耳を傾ける
保護者の訴えが一方的だったり、誤解と思われることもあります。また被害者本人の問題も少なくないと思われることもあります。ときには担任への不満が述べられることもあるかもしれません。そんなときでも、論争せず保護者の気持ちを聞き取ることがまず大切です。
(3) 担任から保護者にメッセージを送る
いじめを防いで安心して学校生活を送ってもらいたいと担任の思いを伝えます。家族で子どもを支えてあげてほしい、何か気づくことがあればいつでも連絡してください、と連絡方法を伝えます。
2 いじめ加害者の保護者への対応
(1) 面談に呼びだす言葉に注意する
わが子の問題で呼び出されることは保護者にとってよい気分ではありません。「いじめを行っているので学校に来てください」と言うと、一方的に決めつけられたように感じ、反発と抵抗感を抱くことでしょう。学校に来たときに戦う気分になっているかもしれません。
「子どもたちの間にいじめが生じているのですが、このことについてお話を伺い、解決に向けて考えていきたいのです。学校におこし願えますか」と伝えるようにします。
加害者と決めつけない。まずは事情を説明し、加害者の保護者の言い分にも耳を傾ける。という姿勢が必要です。
(2) 加害者の保護者の言い分に対して担任の考えを毅然と伝える。
「あちらのお子さんだって問題があるのでは」「皆でやったことなのになぜうちの子ばかり」などの反論が返ってくるかもしれません。また、わが子から事情を聞いて理論武装してくる場合もあります。
いじめかどうかという論争に陥らないことがコツです。いじめというあいまいな言葉でなく、具体的な行動で説明します。
「子どもたちがお互いのよさを認め合い充実した学校生活がおくれるよう教師として努力したい。ぜひ協力してほしい」というスタンスで、対立的にならないようにする。しかし、毅然と投げかけることがコツです。
(管野 純:1960年宮城県生まれ、東京都八王子市教育センター主任教育相談員、早稲田大学人間科学部講師、助教授を経て教授。心理学者。専門は学校カウンセリング)
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