子どもを見る目を鍛えるにはどのようにすればよいか
教師が子どもを見るとき、授業で教えていることが理解できる、理解できないで子どもを見ている教師が多い。
教師が力まずに自然な状態になったとき、子どもがよく見えるものである。相性の悪い子どもがいても、教師のほうから子どもを好きになるように見ることが大切である。
そのために私は子どもたちに、自分のよいところを書いてもらい、それを見て、その子どもを好きになるようにした。
子どもを見る目を鍛えるには、子どもをとらえるものさしを多く準備し、予測をもって見る訓練をすることである。
どの子どもでも必ずよいところがあるという愛情のある目で見ることだ。少しでもよいところがあれば、それを見つけてほめるようにする。子どもを育てるには「ほめる」のが早道である。
また、子どもをよく観察して、その子どもの心にふれるようなことばをかけるようにこころがける。たとえば、自信のない子どもに「うん、面白いね」「これは、きみにしかできないよ!」こういったことばがけで、その子どもが伸びようとする方向に応援するようにした。
子どもの性格を見ぬくには、たとえば親に相談して聞いてみる。
あるいは、子どもの目は確かであるから、五人ずつくらい、子どもたちに絶対に公表しないからと「この五人のいいところや、性格を書いてください」といって子どもたちに紙に書いてもらう。これをくりかえすとクラス全員のことがわかる。この方法は有田が新しいクラスをもつと必ずやっていた。
あるいは、小学校であれば専科の教師に子どものようすを聞いたり、教師が自分で子どもに気づかれないように授業を見ると子どもたちの意外な面を知ることになる。
子どもの調子は日によって異なるという目で子どもを見る。子どもを見てわかったと思ってもこれでいいかなとふりかえることも必要である。
また、クラスの子どもたちに「どんな授業がよいかと?」たずねて、子どもたちの求めていることを知り、子どもたちに合うように自分の授業を工夫し改善する必要がある。そうしないと子どもに拒否されることがある。
(有田和正:1935年生まれ、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授を経て,東北福祉大学教授。教材・授業開発研究所代表。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し、授業の名人といわれている)
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